再び瑠璃色の虫 ― 2016年06月20日 06時58分06秒
さて、根を詰める作業も一段落したので、また棚の徘徊を続けます。
今回も、ネイチャーサイエンスさんの品で、やっぱり美しい緑色の標本です。
アオハダトンボ。
本州以南に広く分布する普通種ですが、生息環境の悪化により、数が減っている地域も多く、府県によっては絶滅危惧種に指定されています(環境省が作成するレッドデータブックとは別に、自治体も独自にレッドデータブックを作成しています)。
「生息環境の悪化」というと、パッと思いつくのは農薬の影響ですが、それ以外にも田んぼの乾田化とか、水路整備とか、人間にとっては便利で安全な環境づくりが、トンボ類にとっては深刻な環境問題を引き起こしているのだ…と、トンボから聞いたわけではありませんが、どうも実態はそのようです。
文字通り線の細い、繊細な姿。
エメラルド色の金属光沢をもった胴体に加え、褐色の薄羽も光の当たる角度によって、青味を帯びてきらきらと光ります。
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私は人間なので、つい人間の肩を持ちますが、もし人間以外の存在だったら、この美しい虫に大いに肩入れし、人間を攻め滅ぼすことを考えるかもしれません。
…と、ついつい対決姿勢でものを考えるのは、現代人の悪い癖で、別にそんな風に正面から角を突き合わせる必要もなく、共存の道はいくらでもあろうと思いますが、たとえトンボが共存を申し出ても、人間の側にそれに応える謙虚さがあるかどうか?
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「でもさ、そもそも自分の満足のために、自由に飛び交う虫を捕えて、壜の中に閉じ込めてる段階でどうなのよ?共存の道とか言いながら、それも随分な話じゃないの?」 …と言われれば、全くそのとおりで、我が身を振り返っても、人間の業はなかなか深いです。
もしトンボの国に博物館があれば、死後に献体して、我が身を陳列してもらう手もあるのですが、そんな愚かな空想をすればするほど、彼我の違いがますます意識されます。
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