彗星奉祝2016年07月06日 07時10分16秒

過去記事フォローシリーズ。
今年のはじめ、フランスのカーニバルに取材した、一寸妙な絵葉書を載せました。



上は南仏・エクサンプロヴァンス(Aix-en-Provence)の「エクスの謝肉祭」の光景。「流れ星の天文学」と題して、星をかたどった山車が練り歩いているところです。

下も同様に南仏の光景で、こちらはニースの町のカーニバルです。奇怪極まりない造形ですが、キャプションに「彗星の作用」とあるように、こちらは明瞭に彗星をテーマにしたものです。

いずれも1910年頃の絵葉書で、片や流れ星、片や彗星と称しているものの、年代を考えれば、2枚とも1910年に接近したハレー彗星にちなむ演目ではなかったか…と、上の記事では見当を付けました。

   ★

で、今回また新たに類例が見つかったので、載せておきます。


フランス西部、レンヌの町に繰り出した「彗星の山車(Char de la Comète)
こちらはカーニバルではなく、「花祭り(Féte de Fleurs)」の情景だそうです。


この絵葉書は1910年と年次が刷り込まれているので、これはもうハレー彗星一択で間違いないでしょう。と同時に、冒頭の2枚もやっぱり「ハレー彗星ネタ」である確度が、一層高まりました。


お付きを従えた彗星の女王。


その裳裾は星屑をちりばめて、後方に高々と掲げられています。


塔の上でも…


地上でも、女王様の姿をひと目見ようと渇仰する天文学者でいっぱいです。

こちらは髭面の男が、酒壜を手に気勢を挙げたりすることもなく、少年少女が主体となっての出し物。「謝肉祭」と「花祭り」の違いもあるのか、「フルール(花)」の語感も相まって、実に愛らしい行列です。

   ★

こうした一連の絵葉書を見ると、1910年当時の世界は、ハレー彗星を恐れたり忌み嫌ったりするばかりでなく、歓呼して迎えるムードも一方にはあったことを知ります。

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