Living Dead 健在2016年09月27日 21時31分16秒

その後もなかなか余裕に乏しく、部屋の掃除もままならないような仕儀に陥っています。こうなると、記事が書けないのはもちろん、部屋も、頭の中も、胸の内も散らかるばかりで、何だか混沌とした気分になります。

   ★

その混沌とした気分で書きますが、例の拍手の件、いかにも妙だなと思います。

昼夜を分かたず、日本のために働いてくれている、自衛隊、警察、海上保安庁の各員に敬意を表そうではないか…という趣旨だそうですが、もちろん現場の各員にはそれぞれ苦労があるでしょうし、使命感に駆られて行動している人も多いと思うのですが、基本的に各自は組織の一員として職務に当っているわけで、別に篤志で活動しているわけではありません。そして、その職務を命じているのは誰かといえば、究極は行政府の長である首相なわけです。その首相自身が、「俺のいうことを忠実に実行している部下に拍手しようじゃないか」と議員に促しているのは、相当妙な構図です。

職務に忠実に、自分の仕事に誇りをもって精励している人は、官民を問わず大勢いるし、さらには純粋に個人の善意に基づいて、利益などハナから度外視して、時には身の危険を顧みず活動しているNGOの人なども多いわけですから、そういう人たちも含め、等しく感謝の念を捧げようという趣旨なら分かるのですが、安倍さんの意図はおそらくそこにはないでしょう。

コメント

_ S.U ― 2016年09月28日 07時08分00秒

国会の演説中にCMタイムがあるとは知りませんでしたね。
 もし、私が国会のCMタイムを1分でもいただけるのなら、低賃金での労働を余儀なくされ、あるいは残業代もろくにもらえずに長時間働いて、土台が傾いている日本の経済と企業の構造を支えている全国の勤労者の人たちに拍手をおくりたいと思います。
 そして、ただ拍手をおくるだけでは物足りないので、本当に長期的な日本の経済のためを考えるならば、一時しのぎの景気対策ではなく、もっと日本の勤労者の生活や権利に配慮する政権を選んだほうがいいですよ、というメッセージもおくりたいです。

 ところで少しだけ脱線しますが、「一億総活躍」、「働き方改革」というのも最終段階では大事だと思いますが、その前提・過程として、まず、「各職場で労働法を守らせる」、「賃金水準を改革して給料でまともな生活ができるようにする」ということからはじめないといけないのではないでしょうか。そちらのほうは経団連の顔色を伺う程度にしか出てこないで、働くほうの話ばかりでは、一億みんなに適度に働いてもらって、ほとんどみんな最低賃金、ようするに百姓は生かさず殺さずというところをめざしているのではないかと勘ぐってしまいます。

_ 玉青 ― 2016年09月30日 06時10分52秒

>百姓は生かさず殺さず

まったくです。
安倍という人は、そんなところも「将軍様」そっくりです。
ああいう見え透いたことを言う人を、なんでマスコミが見逃すかといえば、まさにそういう国柄になってしまったからで、いったいここはどこの国なのかと、この頃は頻繁に目をこすっています。

_ S.U ― 2016年09月30日 21時28分53秒

>いったいここはどこの国なのか
 考えてみるに、どうも最近、「新手の反知性主義」がはびこってきているという気がします。

 いろいろな議論をふっかける人は「不良知識人」であり、うるさいだけで役に立たない人である、というレッテル貼りをし、同じ役に立たないのなら知性などない方がましである、という論法で反知性主義者が自らを正当化しようとしているフシがあります。こう考えると多くのことが解けるような気がします。反知性主義=衆愚政治とはまったく別の図式で、衆愚A対衆愚Bで民主主義にたどり着かないような感じです。

 こういうことになるのにもそれなりの理由があるのでしょうが、結果がまったく好ましくないので、なんとか抑える必要があると思っています。

_ 玉青 ― 2016年10月03日 20時40分45秒

反知性主義もさまざま…といったところですね。

「反知性主義」というのは、今や衆愚とイコールになっていますが、その大元をたどると、最初は「反インテリ主義」の意味合いで、現実的な力を持たない空理空論の徒を駁するプラスの意味があったらしいです。つまり、ペダントリーの対極にある、健全な良識とか、篤実な庶民感覚とかがそこに含意されていたのですが、現代の反知性主義は、再び意味が反転して、まさに篤実・健全とは真逆のよこしまなものを漂わせています。

知性にしても、反知性にしても、言葉だけが先走ると余り良いことはなくて、その前に自分の胸に手を当てて考えれば、容易に分かることも多いはずですが、どうも世の中が騒がしくなると、そういう風に立ち止まって考える人が減って、みんながみんな何だか妙な方向に一斉に走り出し、まさに一犬虚に吠ゆれば…の形勢です。今こそ犬ならぬ人間の智慧の見せ所なのでしょうけれど、どうにも言葉に詰まる事態が多いです。

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