過去記事フォローシリーズ…天文学者と正多面体2016年11月24日 20時32分13秒

以前、ちょっと変わった画題のコーヒーのおまけカードを載せました。


■ルネサンスの天文学者に捧げるカード
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2016/08/19/

この天文学者が巨大な正多面体を前にしているのは、自ら正多面体を研究をし、正多面体の入れ子構造として太陽系を考えた、ヨハネス・ケプラー(1571-1630)に対するオマージュではないか…と、そのときは考えました。

でも、それは間違いで、この絵には元ネタがあったことを知りました。
下の絵がそれです。右下の人物をモチーフとし、手にした器具を差し替えたのが上のカードの絵だったのです。


元絵は、ドイツの数学者・天文学者である、ペトルス・アピアヌス(Petrus Apianus(Peter Apian)1495-1552)が、1533年に著した『器具の書』(Instrument Buch)の扉絵。言うまでもなく、これはケプラーが生まれるよりも、ずっと前に出た本です。

『器具の書』は、その名が示すとおり、当時の数学・天文分野で用いられた計測・観測機器の解説書のようです。上の画像は下のページから寸借したもので、そこには本書についての簡単な解説も載っています。


ルネサンス期には、天文学者は一方では数学者と混じり合い、他方では占星術師と混じり合う存在でしたが、例の多面体は、その数学者としての相貌をシンボリックに表現したものなのでしょう。


【付記】
西暦2000年は「世界数学年」で、上でリンクしたページは、それに協賛してイギリスで作られた、「Count On」という数学・算数の総合教育サイトの1ページです。トップページはこちら。コンテンツを見ると、「Sudoku」とか、「Origami」とかあって、日本のその方面の貢献も興味深いです。)