至宝の扉を開く2016年11月27日 08時21分59秒

(昨日のつづき)


革でくるまれた表紙をめくると、これが動画にも登場していた、ドラゴンのタイトルページ。

(ちょっとピントが甘くなっています)


欄外の書き込み、手ずれでできたシミや汚れ、いずれもほぼ完璧に原本が再現されています。1967年当時のいかなる技術を使ってこれを製版したのか、私には想像がつきませんが、拡大しても網点が見られないので、オフセット印刷でないことは確かです(石版かもしれません)。


上のページをさらにめくると、神聖ローマ皇帝カール5世(CAROLVS QVINTVS)」への献辞と、皇帝の紋章が麗々しく掲げられています(この「V」は「U」と同じ)。


ここにも多面体を前にした人の姿が。
彩色は手彩色で、ところどころ金彩も見られます(上のMの字がそうです)。

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ここで改めて書誌を確認しておきます。
本書の末尾には、以下の情報が記されています。


この番号入り複製本は総数750部で、州立ゴータ図書館(Die Landesbibliothek Gotha〔現・ゴータ研究図書館Die Forschungsbibliothek Gotha〕)所蔵のオリジナル(所蔵記号 Math. Fol. p.38)に基づく。1~200番の複製は、バイエルン州立図書館所蔵のオリジナル(所蔵記号 rar. 819)に従い、完全な彩色を施した。本複製は414番である。」

…というわけで、複製本にもグレードがあって、エディションナンバーが200番までの「上級品」には、特別な彩色が施されているそうです。手元にあるのは「並品」で、それでも私の目には十分美しく見えますが、さらにその上をいく彩色とはどんなものか?気になりますが、具体的な違いは今のところ不明です。

また、本複製には別冊の解説書(英独併記)が付属しており、そちらに書かれた情報も記しておきます。

「この複製本は、ドレスデン「人民の友愛」印刷所(Druckerei “Völkerfreundschaft”)で印刷され、ライプチヒのシャウアー彩色研究所で手彩色された。表紙に用いた革はハイニヒェン皮革製造公社の提供によるもので、ライプチヒのアルトマン製本所で製本された。付属の解説書は、ライプチヒのオフィツィン・アンダーセン・ネクセ(Offizin Andersen Nexö)公社で製版・印刷された。」

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何せ「至宝」ですから、ここはもったいを付けて、さらに次回に続けます。

(この項つづく)