フィリップス問題(3) ― 2016年12月08日 07時11分11秒
フィリップス社の星座早見盤の時代判定については、かつてこのブログでも簡単な考証を試みたことがあります。
フリルタイプについては以下。
拙文を引用すると、
「裏面の出版案内を元に考証すると、1892年から1905年の間に出た品と分かります。 (裏面には、使用法の説明と、自社の出版案内などが書かれています。)ちなみに、1896年に出た同社の広告中では、この早見盤が「既に25,000部売れた」と自慢しています。なかなかのヒット商品。」
…とあります。
続いてスクエアタイプについては以下に登場します。
同じく記事を引用すると、
「20世紀初頭(~1920年代ぐらい)のもの〔…〕という風に、これまで思い、またそう称する業者もいたのですが、裏面の出版物の案内を改めて調べてみたら、私が持っているのは1950年頃の品と判明。意外に新しいものでした。しかし、もっと古い品があるのも確かで、要するに、同じデザインが何十年も息長く使われ続けたということです。」
…と昔の自分は書いています。
いずれにしても、フリルタイプがスクエアタイプに先行することは間違いありません。
いずれにしても、フリルタイプがスクエアタイプに先行することは間違いありません。
★
では、フィリップス社の星座早見盤(=フリルタイプ)が誕生したのはいつか?
手元の品を見る限り、上に書いた以上の情報はないのですが、フリルタイプが何度も版を重ねているとしたら、私が持っている品よりも、さらに古いもの(すなわち1892年以前のもの)が存在することは、ほぼ確実です。
手元の品を見る限り、上に書いた以上の情報はないのですが、フリルタイプが何度も版を重ねているとしたら、私が持っている品よりも、さらに古いもの(すなわち1892年以前のもの)が存在することは、ほぼ確実です。
この点については、ネットで検索したら、あっさり答が分かりました。
グーグルの書籍検索によると、「Bookseller」(J. Whitaker and Sons Limited, 1886)という刊行物に、以下のような記事が載っていて、これが今のところフィリップス社の星座早見盤に関する最初の記事です。
フィリップス社の星座早見盤を「独創的な発明品(ingenious contrivance)」として紹介する内容で、この製品がおそらく1886年中に発売されたことを示唆しています。
この推測は、「The Journal of Education」誌の1887年1月1日号の広告欄に、「新刊(Just Published)」の字句と共に、同じ品が掲載されていることからも裏付けられます。
この推測は、「The Journal of Education」誌の1887年1月1日号の広告欄に、「新刊(Just Published)」の字句と共に、同じ品が掲載されていることからも裏付けられます。
さらに、同年(1887)に出た、「王立地理学会紀要ならびに地理学月次記録(Proceedings of the Royal Geographical Society and Monthly Record of Geography)」第 9 巻の「新刊地図(New maps)」紹介欄には、以下のような記事が載っています。
これを読むと、フィリップス社の星座早見盤は、星図盤の中心をピン留めする代わりに、フレームの中を円盤が回転することで、スムーズな回転の持続が可能になっていること、小型で持ち運びが容易なこと、配色の工夫や星座絵の省略によって星座の視認性が高まっていること…等が、プラスの要素として評価されています。
こうして大方の好評を得て、発売後10年間で2万5千部が売れるヒット商品になったことは、上で書いたとおりです。
★
さて、ではこの「フリルタイプ」はいつまで作られ続けたのか?
後続の「スクエアタイプ」と入れ替わったのはいつか?
後続の「スクエアタイプ」と入れ替わったのはいつか?
…という点について、考証を進めていきます。
(この項つづく。次回いよいよ問題の核心に)
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。