フィリップス異聞…幻灯早見盤2016年12月12日 07時04分01秒

今年はなかなか収穫の多い年だった…ということを、前にチラッと書きました。
まあ、収穫が多いと言っても、珍品がザクザクと集まった…なんてことはありませんが、これまで全く未知のモノに、いくつか巡り合うことができて、ちょっと見聞が広がりました。以下の品もそのひとつ。

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フィリップス社の古い星座早見盤は、ドイツ製のパクリだ…というと、何となく独創性に欠ける会社のように聞こえますが、決してそんなことはありません。フィリップス社は、単に受け身的にドイツの後追いをしたのではなく、それを応用して、大いに独創的な品も生み出しています。

それ如実に物語るのが、「幻灯の星座早見盤」。

(タイプライターの上で撮ったので、背景がゴチャついています)

木枠の全体は約11.5×18cm、中央のガラス板は直径約7.5cm。
ガラスの表面には、さらに星座早見盤でおなじみの楕円形の「窓」が見えます。

星座早見の幻灯というのは、これまで見たことがなくて、そういうものが存在することすら知りませんでした。いわば、ブログ開設11年目にして知った珍品。


上のスライドを裏返したところ。
この品は単純に絵柄を投影するだけでなく、歯車で絵柄を回転させる仕掛けを備えた「メカニカル・ランタン」と呼ばれるタイプのものです。


銘板を見ると、フィリップス社には一時、「幻灯部(Lantern Depôt)」という、幻灯製造の専門部門があったことが分かります。


このクランクをくるくる回すと…


このギアが回転して、歯車を仕込んだガラス円板がゆっくりと回ります。


暗闇に浮かぶのは、お馴染みの早見盤そのものですが、星空が回転するのを見ながら、星座の移り変わりの解説を聞くという経験は、その後の投影式プラネタリウムに通じるものがあり、いわばその前身と言えるものでしょう。その点でも興味深い品だと思いました。