理科室少年の面差し2017年01月12日 21時14分31秒

前回登場した「理科室少年」という言葉。
この言葉は、いろいろな思いを誘いますが、彼はきっと下のような面持で教場に座っているに違いありません。


彼は普段は「ふーん」と、先生の話を聞いています。
彼は実に頭の回転が速いので、「ふーん」レベルでも、そこそこ理解できてしまうのですが、彼が本領を発揮するのは、何か心の琴線に触れる話題に出会ったときです。


そのときの彼は、まさに全身を耳にして先生の話に集中する…ということはおそらくなくて、むしろ「ふーん」レベルよりも、外界への注意力は低下するはずです。


新たな観念との出会いに興奮した彼の耳に、もはや先生の話は断片的にしか入って来ず、彼の思考は急速に内界へと沈潜し、忙しく自問自答を繰り返しながら、その新たな真理に瞳を凝らす…というような仕儀と相成るのです。

その顔は一見無表情のように見えて、目には何か不思議な光を宿しているはずです。


そんな彼らが大きくなると、その一部はこんな理科の先生になって、また次代の理科室少年を育むわけです。

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この絵葉書、キャプションがないので、具体的なことは不明ですが、おそらく時は1920年代、所はイギリスの寄宿制学校に設けられた物理実験室の光景じゃないでしょうか。


右手前に写っている筒先は、物質のスペクトルを観測する分光器のように見えます。
とすると、この少年たちはかなり高度なことを学んでいることになりますが、彼らはそれを「ふーん」で済ますのか、それとも目に不思議な光を宿すのか…?