さわやかな星座早見盤 ― 2017年03月01日 06時21分30秒
駄菓子的な天文アイテムといえば、この星座早見盤は、さしずめ薄荷味のお菓子。
(右側は早見盤が入っていた外袋)
シュトゥットガルトの老舗教育出版社、フランク出版(Franckh’sche Verlagshandlung、現・フランク・コスモス出版)が売り出した星座早見盤。
時代はさして古いものではありません。付属の説明書によれば、初版は1965年、手元のものは1974年に出た第8版です。
地平線を示す楕円の周囲に、地上の景色を描きこむのは、他にも例がありますが、窓自体が凹凸の不整形になっているのは、ちょっと面白い工夫です。
それに何といっても、この色合い。上品なペールブルーと純白のコントラストが、とても爽やかな印象を生んでいます。
洒落たコートを羽織った男が、じっと見入るのもむべなるかな。
裏面はこんな様子。
星座早見というのは、星を描いた「星図盤」と、その時見える空の範囲を示す「地平盤」の組み合わせから出来ており、北極星を中心に盤をクルクル回すことで、星空をシミュレートするわけですが、この製品は、地平盤から南北に伸びた「突起」の隙間を星図盤が回るようになっており、星座早見としてはわりと珍しい構造です。
(ヘルムート・シュミットさんというのは、たぶん元の持ち主)
さらに、星図盤をよく見ると、通常の「日付目盛り」の外側に「赤経目盛り」があり、最外周に「黄道十二宮」が表示されているのも、細かい工夫です。
黄道十二宮については、占星術に関心のある人以外、あまり使いでがないかもしれませんが、現在の黄道十二星座とのずれ具合から、地球の歳差運動に関心を持ったり、天文学の長い歴史に思いをはせる役には立つでしょう。
洒落たデザインばかりでなく、教育的配慮も行き届いた、これはなかなかの佳品です。
★
…というようなことを書いて、事足れりとしてはいけないのでした。
実は、この爽やかな星座早見盤は、単に爽やかなだけの品ではありません。
先日、部屋の灯りを消して、ふと机の上を振り返ったら、この星座早見が微かにボーっと光っていて、一瞬ぎょっとしました。
(私のカメラは暗所では無力なので、画像をいじってコントラストをMAXにしました)
「え?!」と思って、読めないドイツ語を辞書で引いたら、この早見盤のタイトル、「Nachtleuchtende Sternkarte für Jedermann」というのは、「一般用夜光星図」の意味なのでした。
他にも夜光塗料を使った星座早見盤の例はあるでしょうが、それと意識せずに見せられると、やっぱりちょっとびっくりします。そして、「うむ、よくできている」と、ここで再び膝を打ったことは、言うまでもありません。確かにこれは佳品と呼ぶに足る品です。
(さらなる暗闇の中、鬼火のように燃える星たち)
コメント
_ S.U ― 2017年03月01日 07時53分12秒
これは、見た目にも機能的にもすばらしい品物ですね。クローネ、ユングフラウ、シュッツェなどドイツ語のスペルの音感も星座の個性を表しているようで、よい雰囲気と思います。夜光も便利そうで使ってみたいです。説明文に、「暗闇でも星図がよく見えるように、使用前に懐中電灯の光を短時間当てるとよい」と書いてあって、親切至れり尽くせりです。
_ 玉青 ― 2017年03月03日 18時42分04秒
ありがとうございます。なるほど、本当に至れり尽くせりですね。ますます良い品に思えてきました。(^J^)
強いて本品の泣き所を挙げれば、地平盤から突き出た突起部がそれで、裏側はこの突起だけで星図盤を支えていますし、長年使っていると、きっとどこかに無理がかかって破れてしまうと思うのですが、まあそれぐらい使ってもらえば、早見盤にとっては本望でしょう。
強いて本品の泣き所を挙げれば、地平盤から突き出た突起部がそれで、裏側はこの突起だけで星図盤を支えていますし、長年使っていると、きっとどこかに無理がかかって破れてしまうと思うのですが、まあそれぐらい使ってもらえば、早見盤にとっては本望でしょう。
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