洋墨に浮かぶムーン・フェイズ2017年08月25日 10時32分45秒

この一週間は、いろいろ波があって、記事が書けませんでした。
そして今日はようやく遅めの夏休みです。

そんなバタバタの中、ゆうべは日没がずいぶん早くなったことに気付きました。
あとひと月もしないうちに秋分ですから、それも当然です。今年の夏も永遠に過ぎ去りつつあるなあ…と、今ツクツクボウシの声を聞きながら思います。

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さて、土星堂活版舎が最近仕入れた中で、出色の品がこれ。


月の満ち欠けを彫った印刷ブロックのセットです。
各ブロックの版面サイズは21×34mmですから、小さな消しゴムぐらいの大きさ。


この品を最初写真で見たとき、鋳造した金属板を板に貼り付けてあるのかと思いましたが、それは面取りした辺縁部に光が反射してそう見えただけで、実際には「一木造り」でした。

(版面に浮かんだ木目と陽刻された満月)

つまり、これは金属版ではなく、木口(こぐち)木版で作られた印刷ブロックです。
版画技法としての木口木版は、もちろん今でもありますが、それが商業印刷に使われたのは、せいぜい1930年代までらしいので、この月たちもそれ以前のものでしょう。


自信に満ちた新月。



そして、不安気な三日月と、悲嘆に暮れる有明月(注)

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この文句なしにタルホチックな品、秋の夜長と共に活躍の機会が増えるといいのですが、今や土星堂の経営状態は、上の有明月のような感じなので、油断はできません。


【注】 本当は「ファースト・クウォーター」は上弦の月、「ラスト・クウォーター」は下弦の月で、それぞれ半月の姿ですから、この絵柄はちょっとおかしいのですが、ここでは絵柄の妙に免じて、三日月・有明月ということにしておきます。