ケンブリッジ春秋2018年03月20日 22時36分08秒



前回の写真は、もちろんあれ1枚ではなくて、他にも7枚の写真とセットで売られていました。ついでなので、そちらも見ておきます。

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手回し式計算機と、紙束が無造作に置かれた研究者のデスク。
光が斜めに差しているのが、画面に静謐な印象を与えています。
写真の裏面には「ケンブリッジ、1959年」としか書かれていないので、このデスクの主は不明ですが、こうしてわざわざ写真に撮るということは、やっぱり主は傑物なのでしょう。これもホイルかもしれません。

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裏面のメモには「太陽トンネル(Solar Tunnel)、ケンブリッジ天文台、1957年」とあります。写っているのは、太陽観測装置の一部を構成するヘリオスタット(太陽を追尾して、常に一定方向に光を反射する装置)で、同じ機材を写した写真がケンブリッジのサイトにも掲載されていました。

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「はて、この木箱は何だろう?」と思って裏面を見ると、


「1959年の日食のため、(Atafu?)への発送準備が整った(Van Klüber?)の装置」と書かれています。でも、( )内はちょっと難読で、読みが間違っているかもしれません。そこで、もういっぺん表の写真に目を凝らすと、


「Dehesa de Jandia」とか「Fuerteventura」という文字が見えます。検索すると、これはアフリカ大陸の左肩、大西洋に浮かぶカナリア諸島の地名で、ここでは確かに1959年10月2日に、皆既日食が観測されており、そのための遠征機材だと分かります。でも、「Van Klüber」は依然として謎。

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雪のケンブリッジ天文台(1957年)。白いドームに白い雪がよく映えています。
こんな風に嬉々として雪景色を撮影して回ったのは、おそらくイングランド南部では総じて積雪が稀だからでしょう。


そしていつか雪も消え、大地に緑が戻り、ケンブリッジに新しい春がめぐってきます。

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あれから60年経った日本の片隅にも、春は忘れずにやってきます。
地球の公転と自転が、いささかもぶれてない証拠でしょう。

今日は桜が開花しました。