エミルトン氏の驚異の部屋 ― 2018年03月22日 18時51分31秒
バルセロナでは、毎年5月に「OFFF」というアート&デザインの大規模な国際フェスティバルが催されます。その第1回は2001年のことで、今年の「OFFF Barcelona 2018」で早18回を数えます(ちなみに“OFFF”とは“Online-flash-film-festiva”の略だそうです)。
YouTubeを見ていて、今から5年前、2013年のOFFFのために作られた1本の映像作品を目にしました。
映像は、絶滅したドードーの版画とともに始まり、博物趣味にあふれた部屋の様子を切り取りながら、机に向かって一心に手紙を書き綴る男の独白でストーリーは進行します。
彼は子供のころから自然に憧れ、学校を出ると同時に、驚異を求めて世界のあらゆる地方を旅し、そこで見つけた不思議なモノたちを持ち帰っては、部屋を満たしました。
その半生を振り返りながら、彼は手紙を書き続けます。
彼が長い旅の果てに気付いたこと、そして何よりも手紙に託したかったこと―。
それは、この世界を驚異に満ちたものとしていたのは、他でもない自分自身のイマジネーションだったという事実です。
「世界を発見(あるいは再発見)し、新たな世界の創造を可能にするのは、人間の想像力であり、19世紀の博物学者と21世紀のクリエイターは、この点において共通する」…というのが、この作品のメッセージのようです。
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胸に響く話です。そして、これはたしかに一面の真理を突いています。
でも、<モノ>や<世界>は、時として人間のイマジネーションを超える…という事実も、同時に心に留めておく必要があるように思います。
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