ゲームになったペーター坊や2018年05月22日 06時48分05秒

『ペーター坊や月への旅』は、ドイツの子どもたちにたいそう人気がありました。
それを裏付けるのは、本の出版(1915年)から半世紀あまり経っても、依然こんなゲームが販売されていたという事実です。

(外箱の大きさは27.5×38.5cm)

このゲームは、ニュルンベルクの老舗メーカー、J.W. Spear & Söhne社(1984年廃業)が、1967年に売り出したもの。


箱の中身は、二つ折りのゲームボードと…


ルーレットやら、駒やら、カードやらのセットから成ります。

要はルーレット式の双六ゲームなんですが、途中でカードを引いたり、チップをやり取りしたり…という要素が加わっているのは、日本の「人生ゲーム」なんかと共通しています。当時、この種のボードゲームが、世界中の子ども文化を席巻していたのでしょう。


とはいえ、ゲームの主人公が、他でもない『ペーター坊や』であるという事実。それこそが、これが日本やアメリカではなく、ドイツのゲームであることを何よりも雄弁に物語っています。

  ★


このゲームを前にすれば、ひょうきんなスームズマン氏や、


心優しいサンドマン


美しい夜の精のことが、まるで昔なじみの友達のように思い出されます。


そして、不安と希望を胸に、月へと向けて飛び立った、あの晩のことや、


月の男との恐ろしい戦いのシーンも、ありありと浮かびます。

   ★

先日、星の世界を旅する子どもたちの物語として、『ペーター坊や月への旅』を『銀河鉄道の夜』に類するもの…と書きました。しかし、こうしてゲームにまでなっているところを見ると、日本における『銀河鉄道の夜』よりも、ドイツにおける『ペーター坊や』は、いっそうポピュラーな存在だった…と言えるかもしれません。

(ただし、前者は松本零士氏の想像力を刺激し、新たに『銀河鉄道999』という作品を生み、そこから新たな展開がいろいろあったことにも言及する必要があります。)

   ★

まあ、こんなふうに、オーソドックスな天文趣味からフラフラ彷撞い出て、ゲームまで収集フィールドに加えては、財布も心的エネルギーも、あっという間に枯渇してしまいます。しかも、アンティークでも何でもない、戦後の品にまで滅多矢鱈と手を出すにおいておや。

とはいえ、天文モチーフのゲームはとても気になるアイテムです。
そもそも「天文古玩」を名乗るぐらいですから、「古い玩具」はその中心的テーマと言ってもいいぐらいだ…とまでは言いませんが、愛すべき天文ゲームの世界について、少し書いてみることにします。

(記事を替えて、以下つづく)

コメント

_ S.U ― 2018年05月22日 07時29分12秒

このゲームもいいですね。この月に渡って第2ステージというのがいいです。このゲームのルールの詳細はわかりませんが、複数ステージというのが双六を盛り上げる一つの肝だと思います。

_ 玉青 ― 2018年05月25日 07時01分35秒

ありがとうございます。ゲームの話、まだまだ続きますので、ゆっくり楽しんでいってください。

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