湖上の月 ― 2019年05月10日 21時53分26秒
連休明けのウィークデイ。
身体はしんどかったですが、仕事を終えて夕暮れの町を歩いていると、うっすらとした新月が徐々に光を増していく様が、美しく眺められた一週間でもありました。
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意識的に集めているわけではありませんが、月光を感じさせる絵葉書や幻燈スライドを、つい買ってしまいます。これもそんな流れで手にした、月光派のステレオ写真。米イリノイ州の人から買いました。
メーカー名の記載がどこにもないので、たぶん当時(1900年頃)の写真マニアが手作りした品でしょう。右下にペン書きされた文字は、「Moonlight on the Lake」。
それにしても、いかにも謎めいた光景です。
オールを手にした白衣の女性と、黒い影法師のような男性を乗せて、ボートは静かに進みます。辺りには幽かな水音と、オールのきしむ音だけが響き、空には透明な光を放つ満月と星たち―。
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この写真をビュワーで覗いたらどう見えるかですが、ステレオカメラで撮ったと思しい湖上の景色は、さすがに立体的に見えます。でも、手描きの星や月は左右が融合せず、ダブって見えます。まあ手作りですから仕方ありません。
(裏面に押された“E. R. DAVIS/BIRD PHOTOGRAPHE[R?]”のスタンプ)
これを作ったのは、「鳥の写真家」を名乗る心優しいデービス氏。
…と言って、デービス氏が何者なのか、彼が本当に心優しいかどうかは、私にも分かりません。でも、彼が堂々たる月光派であることは間違いないでしょう。
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