フランクリン=アダムズの天体写真2019年05月30日 06時29分33秒



前回登場した、フランクリン=アダムズ撮影の天体写真。
手元には、王立天文協会(R.A.S.)が作成した同様の幻灯スライドが、他にも何枚かあるので、ついでに見ておきます。

(No.265 Nubecula Major.)

「大マゼラン雲」

(No.269 Region of Ophiuchi.)

「へびつかい座領域」

(No.272 Nebula h 3501)

中央の二裂した丸っこいのが「h3501」。これはジョン・ハーシェルによるカタログ番号で、一般的なNGC番号でいえば「NGC5128」。強力な電波を放っている系外銀河で、「電波銀河ケンタウルスA」の名で知られます。

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これらの写真は、星図の基礎資料として撮影されたものですから、その美景を愛でることが主目的ではなかったはずですが、当のフランクリン=アダムズにしろ、他の同時代の天文家にしろ、これを「美」という観点から眺めなかったことは、ちょっと考えにくいです。それぐらい見事な写真です。

頭抜けて豊富な財産があったにせよ、これを撮影したのが、中年の手習いで天文趣味に染まった一人のアマチュアであり、撮影されたのは100年以上前であるという事実が、見る者を驚かせます。


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【余録】

凄惨な事件が心に重いものを投げかけます。

今回の件とは直接関係ないですが、ニュースで、「通り魔事件」という言い方をよく耳にします。私自身、特に何の疑問も持たず使ってきましたが、民俗学者の宮田登氏によれば、本来の「通り魔」――江戸の人は「通り悪魔」と呼びました――は、ああいう事件の犯人ではなく、犯人にとり憑いた一種の邪鬼を指したものらしいです。つまり「通り魔」は、往来にふと現れる妖魔であり、そばにいる人がそれに憑依されると、突如狂気を発して、恐ろしい凶行に及ぶというのです(『妖怪の民俗学』)。

語の成り立ちからしても、用例からしても、確かにそれが古来の観念なのでしょう。と同時に、これは行為者と行為の責任とを切り分ける考え方ですから、そこが妙に現代的にも感じられます。

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なかなか呑み込み難い事件です。
それだけに、いろいろな観点から見ていくことが一層大事だと思います。