空をつるぎが飛ぶ日2019年06月16日 17時24分59秒

今日は一日中涼しい風が吹いていました。
風の音以外何も聞こえない、とても静かな休日で、畳に寝転んで青い空を見ていると、憂き世のことなど忘れてしまいます。しかし、たとえ現実から目をそらしても、その苛烈さが無くなるわけではありません。

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今日も青い幻灯スライドです。

(ロンドン・ニュートン社製、19世紀末)

隅に見える手描きの文字は…


「Comet Sword over Jerusalem (エルサレム上空の彗星の剣)」。

西暦66年1月、エルサレム上空に巨大な剣(つるぎ)の形をした彗星が出現し、人々に何か恐るべき事態が近いことを告げているようでした。


果たしてこの年、ローマ帝国の支配下にあったユダヤ属州の民は、帝国に対して反乱を起こし、ローマ軍との大規模戦争へと発展しました。しかし、ユダヤの民の奮戦も空しく、西暦70年には、ローマ軍によってエルサレムが制圧され、かつてヘロデ王が築いた壮大な第二神殿も、破壊焼亡の憂き目を見たのです。これこそが後世「流浪の民」と呼ばれた、ユダヤ民族の長い苦難の歴史の始まりでした。

なお、後世の学者はこの66年の大彗星を、ハレー彗星と推測しています。

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さて、時は移って西暦2019年の日本。

かつて一時の繁栄を誇った国も、急速に衰運の道をたどり、漠たる不安が社会の隅々にまで広がっています。いずれ天意が象(かたち)となって、大空に出現せぬものでもあるまい…と、昼となく、夜となく、油断なく空を見守る日々が続きます。

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