インド占星術は政界の風を読む2019年07月20日 12時59分01秒

今年の1月に書いた記事の中で、インドにおける占星術の隆盛について触れました。

■インド占星術の世界
インドでは、古代から発展を続けた占星術が、現代でもなお生き続けており、人々の生活の一部になっていることを、矢野道雄氏の著書を引きながら、メモしたものです。その内容は1990年代の話でしたが、2019年現在でも状況は変わらず、むしろいっそう過熱しているのではないか…とすら思えます。

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それは、たまたま下のようなページを目にしたからです。




時節柄、選挙と天文に関して、三題話的なことでも書ければ…と思って、ネット上を徘徊していたら、突如インドのモディ首相の写真がバーンと出て、そこに「2019年ローク・サバー選挙予測: ガネーシャの正しさを知れ」というタイトルが踊っていました。

ローク・サバーというのは、インド連邦議会の下院で、日本でいえば衆議院に当たります。そして、今年はインドも総選挙の年で、5年ぶりにローク・サバー選挙があったという話。

で、上のページ自体は、「GaneshaSpeaks.com」という占星術の総合サイトに含まれていて、記事の書き手は、選挙に先立って同社が占った結果が恐ろしく当たったぞ!…と、縷々(るる)強調しているのでした。(選挙は4月11日から5月19日にかけて行われ、上の記事は5月24日付です。)

本当に当たったのかどうかは、正直よく分かりません。
文中に出てくる占星術用語はちんぷんかんぷんだし、インドの政界事情にも疎いのですが、運営側は、「占星術の奥深さと、ガネーシャのすばらしい予測精度をとくとご覧あれ(Read on to know the depth of Astrology and the super quality of Ganesha's predictions)」と、自信満々です。

それほどまでに当たるならば、明日の選挙結果もぜひ占ってほしいですが、まあ、こればかりはインドの叡智と伝統も、多少割り引いて考えねばならないでしょう。

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ときに、ローク・サバーを知るために、ウィキペディアを覗いたら、2019年の選挙結果が興味深かったです。545議席中303議席を得た「インド人民党」は、日本の自民党みたいな存在でしょうが、その後のロングテールぶりがすごいです。

「インド人民党」、「インド国民会議派」、「ドラーヴィダ進歩党」、「トリナムール(草の根)会議派」に始まって、そこに並ぶ組織・政党名は、実に36(「無所属」を除く)。
「解放パンサー党」とか、「ナガランド人民戦線」とか、「全ジャールカンド州学生組合党」とか、「シッキム革命戦線」とか、1議席だけの諸派も15を数えます。

まさにインド亜大陸の多様性を、目の当たりにする思いです。
日本も多党制の国だとはいいますが、インドと比べれば、まだまだですね(何が「まだまだ」なのか、自分でもよく分かりませんが)。

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さらにインドの外に目を向ければ、世界はいっそう広く、多様です。
時間軸に沿って眺めれば、その多様性は常に変化を続け、まるで万華鏡を覗いているようです。

今の日本で起こっていることも、その1コマであり、その1コマに過ぎない…と達観することで、いくぶん精神衛生が向上する気はしますが、それにしても、日付が変わって万華鏡がヒョイと回った時、いったいどんな光景が見えるのか、今から気もそぞろです。