石の色(1)2019年07月24日 21時31分42秒

学校の夏休みが始まり、梅雨が明け、空はあくまで青く、雲はあくまで白く。

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今から3年前の夏に、神奈川県の横須賀美術館で、いかにも夏休みらしい企画展がありました。「自然と美術の標本展」と題された、この展覧会のことは、リアルタイムで話題にしました(→ リンク)。


そこには、フジイキョウコさんの幻のように美しい鉱物展示があり、橋本典久さんによる巨大昆虫写真の展示があり、江本創さんによる幻獣の展示がありました。そして、これら標本とアートの接点をさぐる試みの中に、鮮やかといえば、これ以上ないぐらい鮮やかな展示がありました。


画材ラボ・PIGMENTさんによる、伝統画材の展示です。
そして、これまたやっぱり鉱物に関係があるのでした。
鉱物は人類の歴史とともにある古い画材のひとつであり、西洋でも東洋でも、長いこと無機顔料の主原料だったからです。

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日本画の世界では、これを「岩絵具」と呼びます。

岩絵具は、文字通り岩を原料にした絵具です。赤い辰砂、青いラピスラズリ、緑の孔雀石など、鮮やかな色の鉱物を粉砕して、その粉を絵具として用いるものです。

ただし、これは元はそうだったということで、今では人工的に作られた製品が幅を利かせています。これを「新岩絵具」と称します。それに対し、昔ながらの岩を原料にしたものは、「天然岩絵具」と呼び分けられます。(新岩絵具は、いろいろな色の金属酸化物を溶かした一種の色ガラスを、天然の岩石と同様に粉砕して製したものです。)

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この美しい「石の色」を、実際に手にとって愛でたいと思いました。
幸い、画材屋さんでは、今も天然岩絵具のセットを扱っています。絵筆をふるうわけでもないのに、決して安くはない岩絵具を買うのは、無駄といえば無駄ですが、鉱物趣味から派生して、そうしたいと思う人がいてもおかしくはないでしょう。


私が送ってもらったのは、京都の伝統画材メーカー、ナカガワ胡粉絵具(株)さんが製造した天然岩絵具48色セットです。(→ リンク


岩絵具には、鉱物種による色相の違いと、粒径による明度・彩度の違いがあって、粒径が大きければ色は濃く、小さくなるにつれて白っぽくなります。このセットは、24の色合いについて、濃いめの「8番」と薄めの「12番」を組み合わせたものです(一部は「12番」の代わりに、さらに薄い「白(びゃく、14番の通称)」が入っています)。

私が好きな緑や青も、これが石そのものの色か…と思うと、いっそう興趣が増すし、


水晶の純白色なんて、見た目だけでなく、イメージからして凛と涼しげです。

(この項つづく)

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