「NEAF 2019」に居並ぶアンティーク望遠鏡2019年07月30日 09時04分29秒

今年も蝉時雨の夏到来。
風に吹かれる空蝉や、羽化に失敗したむくろを目にして、いろいろ物思う季節でもあります。

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さて、NEAFというのは、「Northeast Astronomy Forum」の略で、アメリカ北東部のアマチュア天文家を主体とする天文イベントです(主催はロックランド・アストロノミー・クラブという非営利団体)。多くの機材メーカー、天文関係の出版社、天文団体がブースをつらね、そこに天文ファンが詰めかけて交流を深め、ときに商談に及ぶという、お祭りとビジネスショーを兼ねた催しです。

これは今年に限りませんが、アンティーク望遠鏡協会(ATS)は、今年もニューヨークで開催された「NEAF 2019」にブースを出し、会場に一種独特のムードを醸し出していました。その動画が以下。(画像は単なる切り貼りなので、その下のリンクをクリックしてください。)


この手の催しでは、最新鋭の機材に注目が集まるのが世の常。
そこに敢えて真鍮製の古望遠鏡を並べるのは、奇抜といえば奇抜だし、偏屈といえば偏屈です。まあ虚心坦懐に言って、色物的ブースといっていいでしょう。

アンティーク望遠鏡マニアは、世界的に見て、たぶんアメリカに最も多くいると思いますが、その本場のアメリカでも、アンティーク望遠鏡趣味自体が、かなり特殊でマイナーな立ち位置であることは否めません。

まあ、アンティーク望遠鏡マニアにしても、かく言う私にしても、別に世のため人のため趣味にいそしんでいるわけではないですが、そうした「記憶の番人」がいなくなると、世の中は妙に薄っぺらくなってしまう気がするので、ここは偏屈だろうが何だろうが、己の感覚を信じて、趣味に邁進して吉…と信じます。

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それに、100年前に放たれた星の光を、100年前の望遠鏡で覗くなんて、それだけでも素敵じゃないでしょうか。レンズの向こうの星の輝きと、真鍮の鏡筒の輝きの対比――それこそ、人類と星がこの時空をともに旅していることの証と感じられます。