余滴2020年02月13日 06時23分36秒

今朝、ふとんの中で考えたこと。

私は安倍晋三という人が嫌いなんですが、その嫌いという思いは、どこから来るのか?単に感情的に嫌うばかりでなく(もちろん嫌いというのは感情なので、感情的で当然なのですが)、もうちょっと考えてみると、そこに2つの思いがあることに気づきました。

ひとつは、民主主義というシステムの部品として、彼はあまりに粗悪で、役に立たないという思いです。役に立たないというか、積極的に害をなしている。

でも、自分の言葉を反芻して、これは良くないと思いました。
人間を役に立つ、立たないで選別して、立たない者をさげすむのは、私自身がかつて問題視した「生産性の議論」を、自ら進んで行うことになります。そして、たとえ制度疲労が言われたとしても、私は民主主義を支持するし、私が理解する限りにおいて、民主主義はそんなふうに人間を有用性で序列づけることを拒むはずですから、これは完全に自家撞着です。

ですから、私は安倍という人を「無能力だから」という理由で責めることは、やめようと思います(もちろん、個々の政策に賛否を表明することはします。それは好悪や軽蔑とは次元の違う話です)。

では、「2つの思い」のもう1つとは何か?

もし、安倍という人が、「私は自分の持てる力のすべてを使って、その使命を果たそうとした。でも、結果的に私の力では、十分その使命を果たすことができないと分かった。だから、私は、よりふさわしい人に職を引き継ぐべきだと思う」…そう述べたのであれば、私はその能力の不足をあげつらうことは勿論しませんし、その決断を、大いに尊敬できると思います。

でも、彼は決してそうではない。
我欲にとらわれ、権勢を欲し、そのために嘘を重ね、他を貶めることも平気でする。
この点において、安倍という人を認めることはできません。彼は、清廉潔白な君子でないのはもちろん、世間一般の誠実さや真面目さを全く欠いています。およそ為政者の立場に身を置いてはならない人だと思います。この意味で、私はやっぱり安倍という人が嫌いです。

コメント

_ S.U ― 2020年02月14日 06時52分22秒

>彼はあまりに粗悪で、役に立たない

 私も同様に考えます。しかし、一般には必ずしも「生産性がない」と「粗悪で、役に立たない」がつながる論理ではないように思います。粗悪で役に立たなくても、一時的に見かけ上の生産性や悪事の生産性を上げることはありえます。安倍政権は、善悪評価は別にして、そういうような点での(消極的な)支持(「他の内閣よりもまし」)があるように思います。

 私は、むしろ玉青さんが最後に挙げられた、資質が無い、誠実さが無い、自己中心的で反省が無い、ということから、「あまりに粗悪で、役に立たない」ということではないかと思います。「反省」というのは、自分の性格と他人の立場と環境を客観的に見つめる必要がある難しい作業ですが、この人はそれができません。端的にいうと、レベルが低すぎて、政治家として到底役に立ちようはずもない、と感じます。

 実際、彼のやっている仕事は、日本人の勤労者や官僚ががんばって元来10の仕事ができるところ、足を引っ張ってこれを7くらいにして、この7を自分の功績としているようなところです。7までの減少で済んでいるのは旧民主党政権よりまし、という反論は成立するかも知れませんが、それを反省も無く自分の功績とするのはやはり不誠実と言わざるを得ません。

_ 玉青 ― 2020年02月14日 21時59分46秒

ありがとうございます。溜飲の下がる思いです。
それにしても、私は記事の中で民主主義を称揚しましたけれど、民主主義の鬼っ子が、まさに安倍さんなんだと思うと、心中は複雑です。第2次安倍政権の経験は、確かに民主主義の弱さを見つめ直す良い経験にはなったと思いますが、その経験を次に生かす余裕が我が国から失われてしまったことを考えると、安倍という人はまことに罪深い存在です。万死に値する…という強い字句は、こういう時に使うんじゃないでしょうか。

_ S.U ― 2020年02月15日 08時00分56秒

>民主主義の鬼っ子

ご返事のコメントありがとうございます。私は、民主主義の擁護者ですから、その「鬼っ子」の原因を探る努力もしてみたいと思います。安倍が横暴を極める最大の理由は、いくら無茶をしても内閣支持率が一定の水準は維持しているからと考えてよいでしょう。

 内閣支持率を分析しますと、最新の内閣支持率は、支持45%に対し不支持37%で、支持が有意に多いですが、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200210/k10012280301000.html

理由まで見ると、
・消極的支持(「ほかよりよさそう」(他の内閣よりまし)が、全体の23%を占める
ことから、「支持する政党の内閣なので」を除くと、実力や政策、人柄などの「積極的支持」は、全体の10~15%と推定されます。一方、不支持の大半は、積極的不支持で、全体の31%以上となります。結局、内閣支持の実態は、

 積極的不支持>消極的支持>積極的支持
 
であることは、NHK調査や推定の誤差を考慮しても間違いありません。

 なぜ、こういうことが起こるかまで考える必要があります。

 「ほかよりよさそう」という時に、「ほか」の具体的な候補がない状況が現状支持につながるのは、日本人の保守性によるのだと思います。私だったら、絶対的に悪いものはマイナスだから、無い(ゼロ)より劣ると考えたいですが、多くの人はそうは考えないようです。暴力を振るう親や配偶者でもいないよりよい、という誤った考えも横行しているようです。これは、社会の進歩によらねば克服できないと思います。

 問題は、これを利用して、わざと新内閣の候補をつぶしていくというのが与党の戦略になっていることです。小選挙区制を中心とした現在の選挙制度では、選挙区の候補者の選定の権力を握る者が国会の大半を制することができるので、安倍は当選するギリギリラインの無能な与党候補者を各小選挙区に擁立する作戦がもっとも自己の権力維持に有効であるということを知っています。大半の国民の意図しない結論になり、迷惑なことです。

 長くなりましたのでこの辺にしますが、民主主義の鬼っ子を止める当面の方針は、野党連合政権を具体的に国民に示すこと、国民が小選挙区制に反対し選挙制度を変えさせること、ではないかと思います。これは、今のところあまり行われていないので可能性を秘めているし、上の数字からは、十分に効果の成算があると思います。

_ 玉青 ― 2020年02月15日 11時06分30秒

要は「わらしべ長者」なのかなあ…と思います。

民話のわらしべ長者は、物々交換でどんどん豊かになっていきますが、あんな按配で、今の日本は小集団を制した者が中集団を制し、中集団を制した者が大集団を制し、そしてひいては国を制する仕組みになっています(安倍さんだって、元は山口4区という「わらしべ」から出発して、あそこまでのし上がったわけですよね)。まあ、その仕組み自体「絶対悪」とも言えないですが、問題はその過程で、少数意見や多様性がどんどん零れ落ちていくこと、そして、小集団を制することができない者は、その後何の影響力も発揮できなくなってしまうことで、そもそも存在したはずの「民意のスペクトラム」が、国政に非常に反映されにくい仕組みになっているのは、非常に大きな問題です。

そもそも小選挙区制は、金権腐敗防止を理由に導入されたわけですから、その志は否定しませんが、ここまで民意が捻じ曲げられると、金権腐敗防止は別の手当てを考えることにして、改めて中選挙区制を復活することは有効な解だと思います。

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