塔のある小さな天文台2020年02月14日 06時35分06秒

昨日の今日ですが、どうも安倍氏の言動に「狂壊」の二文字を感じる…とごちつつ、本文に取り掛かります。

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小さな天文台への憧れが、自分に中にあります。

それは、自分がその天文台の主となって、現代の隠修士のように夜ごと空を眺めて、思索にふける…みたいな、何となく「中二病」的夢想が依然としてあるからです。一時は、それを実現可能の如く考えて、ドームメーカーの販促ビデオを取り寄せて、飽かず眺めるほど脳が沸き立っていました(ゼロ年代初頭の話です)。

冷静に考えれば、資金面ばかりでなく、それが不可能なことはよく分かります。ですから、憧れは憧れのままにして、今は「天文古玩」の看板を掲げて、星ごころを満足させる品をせっせと集めて、せいぜい思索だけは存分にふけることにしているわけです。思索はタダだし、どんなに珍妙な思索でも、一人でふける分には罪がありませんから。

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そんなわけで、天文台の絵葉書でも心を惹かれるのは、やっぱり小さな天文台です。


この天文台もいいですね。山荘風というか、山塞風というか、石造の塔のてっぺんに乗ったちょこんとしたドームもいいし、小窓をうがった大屋根もいいです。本当にこんなところで星を眺めたり、炉辺で本を読んだりできたらなあ…と思います。

ところで、この天文台の正体は、ついさっきまで知らずにいました(絵葉書の表面にも、裏面にも、それを示す文字はありません)。こうして記事を書くために、初めて調べる気になったので、これもブログの功徳のひとつです。

調べる前は、それこそディープな天文マニアか、地元の天文クラブが運営しているような施設かな?と思ったのですが、実際は違いました。


オーストリアの切手が貼られているのを唯一の手掛かりに検索したら、その正体はじきに知れました。すなわち、オーストリアの南部、イタリアやスロベニアとの国境に近いトレフェンの町にある、「カンツェルヘーヘ太陽観測所」。グラーツ大学に付属する施設です。


■Observatorium Kanzelhöhe公式サイト

ここはその名の通り、もっぱら太陽を観測対象としており、地球にまで影響が及ぶ太陽活動の変化を24時間体制で監視し、「宇宙天気予報(space weather forecasts)」を行っている施設だそうです。

上の切手の消印は、戦後の1947年7月付ですから、絵葉書の方もそんなに古いはずはありませんが、施設のたたずまいからして、その創設は19世紀に遡るんじゃないか…と漠然と想像していましたが、実際にオープンしたのは1943年で、割と新しい天文台。したがって、上の絵葉書はまだオープンして4年目に投函されたものです。

現在も、その愛らしい姿は変わりません。


まあ、当初夢想したような呑気な場所ではなくて、ここは非常に実際的な任務をこなす施設だったわけですが、私は気象観測に対する憧れも強いので、この「宇宙測候所」は二重の意味で素敵に感じられます。


【付記】

無邪気に「愛らしい」と言っても、創設された1943年は第二次大戦の真っ最中、そしてオーストリアはナチスの支配下にありましたから、ここにも何か戦争の影が差しているんじゃないか…と思って検索したら、果たして以下の記述に行き当たりました(適当訳)。

 「カンツェルヘーヘ天文台(KSO)は、第二次世界大戦中、ドイツ空軍によって観測所網を構成する一施設として設立され、電波伝搬に関連して、地球の電離層のリアルな状況をより的確に評価するため、太陽活動に関する情報を提供するものと期待された。」  (出典: https://arxiv.org/abs/1512.00270 )

呑気とはいよいよ遠ざかっていきますが、ここを積極的に呑気な(あるいはキナ臭さの感じられない)場所として維持することは、太陽観測と並び立つ重要な仕事だと思います。

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