天文聖遺物2020年02月16日 12時21分29秒

一昨日の「カンツェルヘーヘ太陽観測所」でいちばん目立つ存在である「塔」。
あそこが太陽観測所ということは、これは要するに「太陽塔望遠鏡」なのかもしれません。太陽塔望遠鏡とは、塔自体が鏡筒の役割を果たし、複数のミラーによって塔の頂部から底部まで太陽光を導いて、そこで詳細な観測を行うというものです。

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東京天文台(現在は「国立天文台三鷹キャンパス」が正式名称)にも、昭和初期に完成した、立派な太陽塔望遠鏡がありました。「ありました」と過去形で書くのは、すでに望遠鏡としては運用を終えているからです。


■国立天文台:太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)
 (動画のナレーションは三石琴乃さんで、妙に金がかかっています。)

濃い緑の中に経つレンガ色の建物は、実に風情があるものです。
当初は相対性理論の検証を目指して建てられたこの観測施設も、戦後は太陽磁場や太陽フレアの観測をもっぱら行っていたそうなので、カンツェルヘーヘとその役割は一緒です。


そこでかつて使われた碍子とタイルが、私の机辺にあります。
そこに往時の観測家の奮闘や、先賢の理知の営みを想像して随喜する…。

これらは文字通りの瓦礫ですから、それ自体美しいとも言いかねるし、モノ自体に星ごころがみなぎっているわけでもないんですが、こういうのは、キリスト磔刑の十字架の破片や、キリストの遺骸を包んだ布のきれっぱしなんかを、無暗に有難がる「聖遺物信仰」と同じです。

まあ、あまり意味のある行為ではないですが、私はこういうのが結構好きで、これぞ聖遺物という逸品が他にもあります。

(この項つづく)

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