賢治さん、あなたは今どこにいるのか ― 2020年04月12日 16時34分55秒
灰色の空から雨がしきりに降っています。
ブログを書く気分というのがありますが、今はだめですね。
だから桜の話もちょっと中断です。
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野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
賢治の言葉はいちいち心にしみますが、最後のくだりだけは頷けません。
もちろん、つまらない喧嘩や訴訟ならやめればいいですが、世の中には大切な喧嘩や訴訟もあります。病気の子供や疲れた母親を放置している社会の不正義に対しては、大いに怒らないと、彼の理想は実現しないはずです。まあ、そんな当たり前のことは賢治だって百も承知で、たぶん賢治が言いたかったのは、「自利の喧嘩」はダメだということでしょう。
眼前の事態に対して、「こんなときに政府を批判するな」と言う人がいます。それに対する反論もあります。思うに、こういうとき大切なのは、目の前の人を突き動かしているのが自利の心か、利他の心か、それを虚心に見つめることでしょう。表面的な発言よりも、その点に心を向けると、いろいろ見えてくる気がします。
病気の子供や、疲れた母や、死にそうな人のために怒り、行動する人。
そういう者に私はなりたいですが、懐手をしてウンウン唸っているばかりで、なかなか動けないのが、我ながら不甲斐ないです。
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賢治さん、あなたは今どこにいるのですか?
今も下の畑を歩いているのですか?
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