日本の星座早見盤史に関するメモ(8)…渡辺教具「第3期」細見2020年06月17日 21時13分32秒

その後、戦後の星座早見をいくつか手に入れました。こういうのはモノを手元に置いて、初めて分かることも多いので、調べようと思ったら、蒐集や審美とは別に、どうしても買わないわけにはいきません(とはいえ、この時代の品は今のところ数百円程度ですから、負担感は知れています)。

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そのうちの1つが、渡辺教具製の古い星座早見盤。


以前の記事(連載第5回)だと、「第3期」に属する品で、メーカー名の記載がまだ「WATANABE」になる前、「渡辺教具製作所」時代のもの。

で、その際記事で掲げた「1960年代後半」というのは、言ってみれば単なる想像に過ぎなかったので、その裏付けを求めて購入したのでした。


今回購入したのは、元箱と元袋の付属する、考えうる限り最良の品です。
ですから、そこには必ずや発行年に関する情報があるだろうと思いました。

しかし予想はもろくも外れて、本体を見ても、袋を見ても、箱を見ても、隅から隅まで凝視しても、発行年はもちろん、それを暗示する記載や、年代特定に結びつくような文言は一切見られませんでした。

要するに、お椀型に発行年が入るようになったのは、「第5期」の「1980年第2版」が最初で、それ以前のバージョンには、年代を物語るデータは記載されてないようなのです(ちなみに、第4期の裏面も第3期と同一であることは、別の商品写真から確認できました)。

(第3期・裏面)

となると、古いバージョンの製品群の発行年は、同時代の雑誌広告等に当たるしか手がなさそうです。(もちろん、直接同社にお尋ねする手もなくはないですが、まずは自助努力です。)

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うーむ…と思いましたが、もう一度モノを凝視したら、次のことに気づきました。

連載第5回に掲げた「第3期」の写真では見切れていましたが、現物を見たら、「渡辺教具製作所」の前に「(株)」の表示を見つけました。これは大きな手掛かりです。

(第3期・外箱裏面)

渡辺教具のサイトによれば、同社が株式会社になったのは昭和37年(1962)です。
そして、第2期に「(株)」の文字がなく、第3期にはあるならば、両者の間に昭和37年(1962)という年次が必然的にはさまっているはずです。すなわち、第2期の下限(そして第3期の上限)は1962年です。

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さらに、その後分かったことを、元記事である連載第5回に付記しておきましたが、「第4期」については1970年代後半と、その時代幅を狭めることができたので、結局今わかっていることを編年整理しておくと、以下の通りとなります。

【渡辺教具製 星座早見盤編年表 2020.06.17版】
〇第1期 1955年頃?~1960年前後?(始期・終期とも曖昧)
〇第2期 1960年前後?~1962年頃(始期は曖昧)
〇第3期 1962年頃~1975年頃
〇第4期 1975年頃~1980年
〇第5期 1980年~2000年
〇第6期 2000年~? 
〇第7期 ?~現在
※第6期と第7期は、現在両方とも市場に並んでいて、正確な交代時期は不明。

(この項つづく。次回は三省堂版のその後について)