星図のポストカード ― 2020年08月23日 11時36分39秒
一昨日のソ連のカード式星図アトラス。
思い起こせば、星座や星図のカードは、世の中にたくさんあります。
最初から観測補助の意図を持った、まじめな星図カードもあるし、ゲーム用カードもあれば、各種のおまけカードもあり、さらに親しい人に送るポストカードもあります。その中から、古い時代のものだけ集めたとしても、なかなか魅力的なコレクションになるでしょう。(自分で集めればいいんですが、カードだけに興味を集中させることも難しいので、これはチラッと思っただけです。)
たとえば…ということで、1枚のポストカードを見てみます。
おそらく1920年代にフランスで出た星図の絵葉書(星座境界がうねうねしているので、確実に1930年以前のものです)。印刷は石版です。
北極星を中心に、5等級までの星がプロットされた、なかなか本格的な星図です。
最大の謎は、これを誰がどういう目的で作ったかです。
「誰が」の方は、パリのポワソニエール大通り5番地にあった「カード美術館(ミュゼ・ド・ラ・カルト)」だと、裏面に書かれています。でも、本当にそんな名前の美術館があったのかどうか。あるいは単なる絵葉書屋の屋号かもしれず、その辺は不明です。そして、これがフランス天文学会とか、カミーユ・フラマリオンの息のかかった団体とかの記念絵葉書として作られたなら分かるんですが、そうした記載はどこにもありません。
いったい何なんでしょうね。熱心な天文ファンだったら、とっくに立派な星図を持っているはずですから、こんな絵葉書に頼る必要はないし、天文ファンでなかったら、この絵葉書に関心を持つ人は少ないでしょう。―いや、実は1920年代のフランスは、こうした絵葉書が日常的に行き来するぐらい、天文趣味に染まっていたのか?
まあ、「謎」というほど大げさなものでもありませんが、中途半端に本格的なだけに、何だか不思議な感じがします。
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