余滴2020年10月02日 19時47分21秒

日本学術会議の会員人事をめぐる問題。

その騒ぎを聞いて、日本学術会議法というのを、今回初めて読みました。
法律の常として、さらに「施行令」というのがあり、また当然のごとく会則」やら細則」やら、いろいろな決め事があって、それは同会議のサイトに、一括して載っています。(以上の4つは一通り目を通しました。いずれもそう長い文書ではありません)。


肝心の会員の任命については、その第7条「会員は、第17条の規定による推薦〔=学術会議の推薦〕に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」とあって、これだけ読むと、たしかに会員の任命権は首相にあると読めます。

しかし、ここでいう「任命権」には、「選任権」や「任権」が含まれていないことには十分注意が必要です(首相は学術会議側から申し出がない限り、会員を辞めさせることはできないことになっています)。

そして、任命の根拠は、唯一「学術会議から推薦があったという事実」に限られ、たとえば「推薦のあった者の中から、○○を考慮して内閣総理大臣が任命する」…というような建付けにはなっていません。つまり、第7条は首相の裁量を強調したものではなく、「学術会議の推薦の無い者を、首相が勝手に会員に任命することはできない」という、むしろその裁量権に大きな制限を課した条文です。

学術会議が「優れた研究又は業績がある科学者」として推薦した人(第17条)を、首相が蹴るというのは、独立して職務を行うとされている(第3条)学術会議の独立性を脅かすものであり、「不当な人事介入」と呼ばざるを得ない行為です。

…というようなことは、すでに多くの人が述べているので、屋上屋を架す必要はありません。それでも事実を確認しておくことは大事ですから、念のため、根拠法を一瞥してみました。

   ★

本件について、私の態度は100%明瞭で、菅内閣に対して、きっぱりと抗議の意を表明します。そこに何のためらいもありません。

   ★

ただ、ここで私の心にかすかに引っ掛かっていることがあります。

もし将来、私が支持するリベラル政権が成立したとして、その政権が学術会議の会員を任命するに際して、極右的であったり、全体主義的であったり、差別主義的であったりする人を拒否したら、私はそれに対してどういう態度をとるだろうか…という問題がそれです。

結局、今回の件もいろいろな議論の層がありうるのですが、昨日、寝床の中で自分なりにボンヤリ思いついたことがあります。頭を再度整理して、そのことは別項でしっかり書きたいと思います。

コメント

_ S.U ― 2020年10月03日 20時25分59秒

玉青さんのお説にはコメントせずに、私なりの視点を少し書かせていただきます。
 
 学問の自由の侵害は重大な問題で、学術会議の人事介入もその一つですが、侵害をしたければ、こんな迂遠なことをしなくても、研究者の提言にない新公募型や特区制度で予算誘導を行うとか、研究費を文科省から別の省(防衛省を含む)に徐々に移すとか、大学の要職の推薦過程に横やり入れるかすればいくらでも目立たぬようにできることで、すでに部分的に始めていますので、今回新しいことが始まったとは私は思いません。

 そこで、想起されるのは、桜を見る会で問題になった「反社会的勢力の定義」の否定です。あれは、もともと行政が官民の契約においてトラブルを回避するため反社会的勢力の特約事項を推奨していたものです。それを閣議決定で潰してしまいました。むしろ、法体系を崩し、国民の遵法精神を低下させ、社会を混乱させれば、政権のマヌーバーが増えるという意図のもので、新型のアナキズムのように思います。

_ 玉青 ― 2020年10月04日 07時08分24秒

前政権も含め、本当に碌でもない政権です。
それにしても、あの人たちは一体何がしたくて政治家になったんでしょうね?世を乱すために政治家を志したんでしょうか?まさに修身斉家治国平天下の逆をいくという、新手のアナーキストと聞けば納得も行きます。昨日の自分の所論だと、彼らは「変節右翼」の亜型に属するように思うんですが、決して「保守」ではないですね。根っからの不徳義漢だと感じます。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログのタイトルを平仮名で書くと、「○○○○こがん」です。○○○○に入る4文字は?

コメント:

トラックバック