孔雀石の地球 ― 2020年12月14日 06時54分14秒
昨日は久しぶりに休日らしい休日でした。
「せっかくの休日なんだから…」と聞いて、次にどんな言葉を連想されますか?
「たまった家の仕事を片付けよう」と思うのか、それとも「のんべんだらりと過ごそう」と思うのか? 私の場合、気持ちは前者ですが、実際の行動は大抵後者です。昨日も、結局一日ダラダラと過ごしていました。
有限の人生を無駄に過ごすのは勿体ない気もしますが、ややもすると人間ダラダラしたがるのは、そうすることが人間にとって必要だからで、これは決して無駄ではないのでしょう。(突き詰めて考えれば、人生そのものが無駄だとも言えます。)
…と誰にともなく言い訳しつつ、ブログも放置しっぱなしでは良くないので、何か書いてみます。といっても小ネタです。
★
以前登場した、手元のアーミラリー(画像は再掲)。
■魅惑のアーミラリー・スフィア(中編)
その素性は、上の記事で十分書いたように思ったのですが、新しい発見は日々あるものです。今回知ったのは、このアーミラリーを彩る緑の地球、すなわち孔雀石(マラカイト)を削り出した、中心の小球の由来です。
私は「緑の地球」というおなじみのフレーズに触発された、作者ノーマン・グリーン氏のちょっとした思いつきだと考えていました。他のアーミラリーだと、ここに真鍮や銀の小球がはめ込まれていることが多いからです。(あるいは、Greeneという姓に掛けた機知かな…と思ったりもしました。)
でも、マラカイトの小球をはめ込んだ例は、古いアーミラリーにもあって、これはグリーン氏の独創ではありません。というよりも、そういう先例にならって、グリーン氏は自作にトラディショナルな趣を与えるため、進んで孔雀石を選んだのでしょう。
その先例として目に付いたのは、イギリスのサイエンス・ミュージアム・グループ・コレクションに属する以下の品です(実際の所蔵先はロンドンの科学博物館)。
(1648年にイタリアで作られたアーミラリー・スフィア。Science Museum Group Collection 【LINK】 より)
(同上拡大)
そういことを知ってみると、これまでちょっと浮いて感じられた緑の玉が、にわかに威厳を帯びてきたりするので、人間の目と心は案外いい加減なものです。
コメント
_ S.U ― 2020年12月16日 07時45分05秒
_ 玉青 ― 2020年12月16日 18時35分46秒
カパッと筐体カバーを開けて中身を見られる古めかしい懐中時計や、あるいはスケルトン式の時計だと、今でも「石」が随所できらきらしているのが眺められて綺麗ですね。各パーツがカチカチ動くさまと一緒に、飽かず眺めていたくなります。
ときにルビーの硬度は堂々の9。まさに軸受けにはうってつけです。
対する孔雀石は3.5~4ですから、軸受け役としては全然だめっぽいですね。
それかあらぬか、このアーミラリーだと、孔雀石の真ん中に穴を開けてそこに細い金属パイプを通し、回転軸はその中を通っていますから、結局この緑の玉は目を楽しませる飾り石以上の役目を果たしていません。すり減る心配がないので、安心してクルクル回せるのは、かえって安穏かもしれません。
ときにルビーの硬度は堂々の9。まさに軸受けにはうってつけです。
対する孔雀石は3.5~4ですから、軸受け役としては全然だめっぽいですね。
それかあらぬか、このアーミラリーだと、孔雀石の真ん中に穴を開けてそこに細い金属パイプを通し、回転軸はその中を通っていますから、結局この緑の玉は目を楽しませる飾り石以上の役目を果たしていません。すり減る心配がないので、安心してクルクル回せるのは、かえって安穏かもしれません。
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軸受けに宝石を使ったのは、かなり歴史が古いのではないかと思いますが事実は知りません。天球儀も軸が命なので、関連の品があることも考えられるのではないでしょうか。