食卓の星 ― 2021年03月10日 22時02分11秒
天文モチーフの品はどこにでも登場します。
テーブルの隅に、いつの間にかこんな彗星と土星が乗ってたらどうでしょう?
クロームメッキの輝きを放つ32ミリ角のキューブ。
これが何かといえば、パッパッと塩と胡椒を振るためのソルト&ペッパー・シェイカーのセットです。言ってみればどうということのない雑器ですが、意外に時代は古くて、1930年代にさかのぼる品。
銀色の外身を外すと、中身はベークライト製らしい容れ物になっています。
(底面のロゴマーク)
メーカーのチェイス社(Chase Brass & Copper Co.)は、1876年にコネチカットで創業。1930年代に、当時の一流デザイナーを起用したクローム製家庭用品をいろいろ売り出して、当時の製品は現在コレクターズアイテムになっているのだそうです。もちろん、この小さな容器もその一部。
このスマートな造形感覚は、1930年代における「モダン」がどんなものであったかを、問わず語りに教えてくれます。真っ白いお皿に載せたハムエッグに、こういう容器から塩胡椒を振りまいて、ぱくぱく食べるという生活スタイルが「モダン」に感じられた時代―。その輝きは、ポップアップトースターのそれと同質のものであり、クロームメッキの輝きが真鍮の輝きに置き換わったとき、我々の生活は「モダン」の波に呑み込まれたのかな…という気がします。
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さて、明日はいよいよ3.11。
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