月にただよう煙2021年03月12日 12時20分22秒

10年目の3.11から1日が経過しました。
今日は一転して肌寒い雨の日。昼には遠雷の音。

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いつの間にか生活の場から消えたものってありますよね。
ブラウン管TVとか、ハエ叩きとか。
灰皿というのも、いつの間に消えたもののひとつです。わが家の場合、来客用の灰皿が今でもたぶん物置の隅にあると思うんですが、もはや誰も使わなくなりました。

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にもかかわらず、新しく灰皿を買いました。多分永遠に使わないであろう灰皿を。


真鍮でできたムーン・マンの表情に惹かれたのと、まさに二度と使われない運命という点に哀惜の情を感じたからです。時代不詳ですが、20世紀半ばぐらいのものでしょうか。売ってくれたのはイギリスの人です。


昔はどこでも紫煙がただよっていました。当時を思い出すと、ここにシガレットの吸いさしを置いた、その指先の表情までもありありと想像されます。おそらくその中指には大きなペンだこが出来ていて、そこに煙草のヤニがうっすらと染みていたことでしょう。(これは私の祖父の思い出と重なっています。)


こういう品は、裏面の表情にも不思議な味わいがあります。
いわば月男が隠し持つ「裏の顔」ですね。


左は以前登場した(LINK)、フランスのビールメーカーが作った彗星灰皿です。
こうして並ぶと好一対。

まあ、灰皿としては使わないにしても、ペン皿やクリップ入れ、あるいはコイントレーとして使うと、ちょっと気が利いているかもしれません。