雲間の名月2021年09月21日 21時03分19秒

今宵は雨模様のお月見になりました。
秋雨の季節でもありますから、昔から月見に月が見えないことはしょっちゅうで、俳句の季語でも特に「無月」といい、「曇る名月」といい、また「雨名月」ともいい、雲の向こうに名月をしのぶことも、風流のうちに数えるのだそうです。

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本来の天文学とは関係なしに、月夜の幻燈スライドを少しずつ集めています。


上は先日届いた1枚。


タイトルは「Venitian Night」ベネチアの夜


青い光に満たされたベネチアの夜景です。
櫂をあやつり、静かに奏で唄うゴンドリエーレ。二人の女性客を乗せたゴンドラは、月明かりに照らされた川面をすべるように進みます。
ここでは月が煌々と照るのではなく、群雲を通してかすむように光っているのが、いっそう美しく、幻想的に感じられます。

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歳時記を開いたら、次の一句がありました。

  雨の月 どこともなしの 薄明り  越智越人

月は隈なきをのみ見るものではなく、その「気配」をこそ賞美するのだ…というのは、幾分やせ我慢の気味はありますけれど、まあ風流にはちょっぴりやせ我慢も必要です。


【付記】 なお、上のスライドは2枚目の画像にあるとおり、ニューヨークのマカリスター社(T.H. McAllister)の製品で、1880~1900年ぐらいのものと思います。

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