アストロラーベ再見(2) ― 2022年03月12日 20時21分23秒
毎日家を出るとき、いつも門扉の脇のアジサイが目に留まります。
その若芽が徐々に膨らみ、今ではつやつやした緑が鈴なりです。あのみずみずしい翠色は春そのものであり、命の輝きそのものだなあ…と、そんなことを考えながら毎日家を出ます。
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さて、アストロラーベの続き。
これはブセボロードさんが図面を引き、ヴィタリーさんが切り出した優美なアストロラーベです。ただし、優美ではあるけれども、これだけ見ると「昔の人が使った何だか不思議な道具」という印象で終わってしまうかもしれません。
では、こちらはどうでしょう。棚から取り出した三省堂の星座早見盤です。星座早見盤に慣れた人ならば、その構造や用法は明瞭でしょう(以下、星座早見盤の知識は共有されているものとします)。
アストロラーベと星座早見盤はよく似ていると言われます。アストロラーベを理解するために、ここでアストロラーベと星座早見盤の異同を考えてみます。ただし、正統派アストロラーベと星座早見盤とでは、見た目の違いが大きくて、パッと見比較しづらいでしょう。
そこで登場するのが、先日紹介した「モダン・アストロラーベ」です。
Wavytail というメーカーの製品で、これもEtsyで購入しました【購入先はこちら】。
(画像再掲)
このモダン・アストロラーベを見ると、星座早見盤との類似は一層明らかです。いずれも回転する盤で星の動きをシミュレートし、任意の日時における星/星座の位置を教えてくれる装置です。一種のアナログコンピュータにもたとえられます。
このモダン・アストロラーベが、正統派のアストロラーベと違うのは、複雑な形をしたレーテ(網盤)の代わりに、透明なアクリル板に星図が描かれていることです。光の角度によって、それが浅緑に浮かび上がり、白木のマーテル(母盤)やテュンパン(鼓盤)に映えて、なかなか美しいものです(※)。とはいえ、見た目は違っても、その動作原理はまったく同じです。
(※)「レーテ、マーテル、テュンパン」はラテン語読みで統一しました。定訳は未確立と思いますが、原義を考えて、それぞれ「網盤、母盤、鼓盤」と仮訳しておきます。なお、鼓盤を以前の記事では「皮盤」と呼びましたが、そちらも「鼓盤」に修正しておきました。
(この項つづく)
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