アストロラーベ再見(3) ― 2022年03月13日 12時23分36秒
ここで改めてアストロラーベの構造を確認しておきます。
(Bruce Stephenson他(著)『The Universe Unveiled』、2000より)
マーテルにテュンパンをはめ込み、その上にレーテが乗って、全体がピン止めされている…というのが、その基本構造です。テュンパンはマーテルに固定されているので、回転するのはレーテだけです。さらに、いろいろな指標を読み取るために、アリダードとルーラー(またはルール)と呼ばれる、細長い補助具が表面と裏面に付属します。
(①マーテル、②テュンパン、③レーテ、④アリダード、⑤ルーラー)
モダン・アストロラーベの構造もまったく同じです。(私が購入したものには、異なる緯度でも使えるように、2枚のテュンパンが付属します)。
ただし、正統派アストロラーベのレーテが、ごく一部の明るい星だけを表示しているのに対して、このモダン・アストロラーベでは、4等星以上の星がすべて描かれており、一層使いやすくなっています。星図の回転の中心は、もちろん天の北極≒北極星です。
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大まかな構造を確認したところで、アストロラーベと星座早見盤の共通点を見てみます。
テュンパンとレーテを重ねたところ(ピンとルーラーを外してあります)。
テュンパンの上部に、見開いた目の形というか、両端がとがったラグビーボールのような形があって(朱線部)、この部分が頭上に見えている空の範囲を示しています。また、そこに描かれた網目模様は、天体の位置を示す地上座標のグリッドで、網目の中心が天頂になります。
この「ラグビーボール」の部位が、星座早見盤だと、地平盤にくりぬかれた「窓」に相当します。これと星図を重ね合わせることで、その時点で見えている星空の概略を知ることができる…というのが、両者の最大の共通点です。
まあ、細かいことを言えば、星座早見盤では、星図の上に地平盤が乗って地平界を区切っているのに対して、アストロラーベでは、星図の下にテュンパンがあって地平界を表示しているという違いがありますが、これは本質的な違いとは言えないでしょう。
その意味で、両者はほとんど同じものと言ってもいいのですが、そこにはいくつか大きな違いもあります。
(この項つづく)
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