「天文古玩とは何か?」― 識者に聞く2023年01月17日 20時13分39秒

不易あれば流行あり。
ChatGPTがネットで話題のようなので、私も流行に触れてみました。ChatGPTというのは、AIによる対話シミュレーターというか、要はSiriの親玉みたいなものです。ログインすると、何の準備も不要ですぐ使えるのが便利なところで、さっそく知りたいことを尋ねてみました(クリックで拡大)。


うーむ、なかなか巧みに答えますね。ただ、AIは「天文古玩」を「天文アンティーク」と同義ととらえているようだったので、ちょっとそのことも聞いてみます。

私: 天文古玩と天文アンティークとは同じ意味ですか?それとも違う意味ですか?

ChatGPT: 「天文古玩」と「天文アンティーク」は、どちらも古い天文学に関連した道具や機器などを指します。天文古玩は、古い天文学に関連した道具や機器を収集、評価することを楽しむ人たちが使う言葉です。天文アンティークは、古い天文学に関連した道具や機器を指して、古美術商などが使う言葉です。

ただし、「天文古玩」と「天文アンティーク」は、概念上は同じ意味ですが、使用する場面や目的によっては、意味合いが異なることもあるかもしれません。そのため、「天文古玩」は、天文学者や天文史学者などの専門家によって使用されることが多いですが、「天文アンティーク」は、古美術商や古物商などが使うことが多いです。

意味が通っているような、通ってないような、そこはかとなく「ああ言えばこう言う」感はありますが、巧みといえば巧みです。
しかもAIは言葉巧みなだけでなく、なかなか物知りでもあります。

私: 天文古玩についての学術論文を教えてください。

ChatGPT: 天文古玩に関する学術論文は多数存在します。特に、歴史的な天文器具や書物についての研究は、天文学史や技術史の研究において重要な役割を担っています。以下に幾つかの例を挙げますが、これらはあくまで一例であり、専門家によってはさらに多くの論文があるかもしれません。

"The History of the Telescope" by Henry C. King (1955)
"Astronomical instruments of the Islamic world" by David A. King (2010)
"A History of Astronomical Instruments" by J.A. Bennett (2003)
"Astronomy in the Low Countries" by J.A. Bennett (2008)
"The history of astronomical observing instruments" by Giorgio Strano (2018)

これらの論文は、大学や研究所のライブラリーで利用することができるか、学術雑誌のオンライン版で閲覧できるかもしれません。また、天文古玩に関する研究は、天文学や歴史学などのさまざまな分野で行われているため、それぞれの分野の学会や学術誌でも論文が発表されていることがあります。

なるほど。ただし、ここには重大な落とし穴があって、ChatGPTが教えてくれる著書・論文には大量の嘘が混じっていると言われます。上に挙がっている本はどれももっともらしいですが、どうやら2番目以降はデタラメっぽいです。

最後に大切なことを聞きます。


どうもはぐらかされているような気がするし、彼は平気で嘘もつきますが、私の知りたいことに対して、少なくとも私の家族よりは、はるかにうまく答えることができます。「なるほどなあ…」と感心しつつ、ここまでくると、「あたかも自我があるようにふるまう対話シミュレーター」を作ることも、意外に簡単かもしれず、子供の頃に想像した未来は、すぐ足元に来ている感じがします。

(楳図かずおの『漂流教室』に出てくる「物言うコンピューター」)

コメント

_ S.U ― 2023年01月18日 07時56分58秒

>AIによる対話シミュレーター
世の中には、「お役人のヘリクツ」というのがありますよね。なんというか、世間に支障があれば他意はないのでご寛恕いただきたいのですが、部課長級の公務員が出てきて、一般人のクレームに対して慇懃ながら、ああ言えばこういう式で、どんな問題でもうまく論理的にまとめてしまって納得させるような。いかにも手広く知悉していて誠実に応えているようにみえますが、実は知っている知識をうまく論理的につなげて出来合いの結論へ導けたように見せかけているだけという部類です。足りないところは、適宜、怪しい情報をどうころんでも馬脚が出ない程度に援用します。

 私は、その手の仕事にはつきませんでしたが、対話の経験からこのトシになってようやくそのコツがわかってきたような気がします。別に批判しているわけではありませんが、役に立つかどうかは怪しいです。AIも、そのようなお役人から学んだのではないでしょうか。

_ 玉青 ― 2023年01月19日 18時51分19秒

あります、あります。妙に慇懃で、でも明らかにガス抜き要員だろうなあ…と思えるような人や応対が。たしかにあれに似た手触りがありますね。のらりくらり感といいますか。

私も記事を書き終えてから、「これって何かに似ているぞ」と思って、寝床の中でぼんやり考えていたんですが、そこで思いついたのは、マスメディアに登場する「識者」、いわゆる「タレント文化人」です。何となくもっともらしい、ああ言えばこう言う、平気でうそを混ぜる、そして何よりも相手が言っていることも、自分が言っていることも、真の意味では――ここは議論があるでしょうが――何も理解していない、そんなところがよく似ていると思いました。これはAIがタレント文化人に似ているというよりも、タレント文化人の言語応答は、AIと同じアルゴリズムを採用しているということなのでしょう。まあ、それも一つの才能だとは思いますが、あまり有難がるような才能でもないですね。

いずれにしても、「もっともなこと」と「もっともらしいこと」は違うことを、今回の実験で再認識しました。

_ S.U ― 2023年01月20日 07時29分06秒

元来は、公共の仕事をする時は、役人でも文化人でも「真理を知らせる」ということが使命でなくてはいかんと思うのですが、昨今では「スムーズに話をまとめる」ということが至上となっていて、そういう人がエキスパートとして採用されているのでしょう。
 これは、尋ねる側、クレームする側にも問題があって、スムーズで迅速な応答に拘らず、本質をついていてハートのある応答を良しとするよう、気持ちを改めないといけないのかもしれません。

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