バチカンに天文学の風は吹く2023年03月29日 05時53分47秒



1891年にバチカン天文台再興の勅命を発した、教皇レオ13世の肖像を鋳込んだ銀メダル。


裏面には、その事績を記念して、天文学の女神ウラニアと、遠景にドームを頂く塔が見えます。発行年は再建と同じ1891年。

メダルの周囲に刻まれた銘文は、「Rei astronom honor in vat instauratus et auctus.」で、これをGoogleに訳してもらうと、「The honor of the astronomer was restored and increased.(天文学者の栄誉は回復され、弥増した)」といった意味らしいです。

バチカン天文台とレオ13世の関係や、この塔がいったいどの塔を指しているのか、その辺の事情は、前回独立した記事にまとめました。

そこでも触れたように、この塔は現在も残る「聖ヨハネ塔」で間違いないのですが、ウィキペディアの該当項目【LINK】には、天文台との関係を窺わせる記述がありません。この塔から望遠鏡がカステル・ガンドルフォに移されてから、まだ100年も経っていませんが、どうも歴史としては埋没しつつあるようです。

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それにしても―。
ちょっとあざとい写真ですが、こんなふうに並べると一抹の感慨なきにしもあらず。

(ガリレオのメダルはこちら【LINK】に既出)

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ときに、ウラニアは古代の異教の神ですから、それがバチカンに堂々と立っているのは、考えてみると不思議な気がしますが、この辺は古来の伝統ということで不問に付されているのでしょう。先ほど検索したら、バチカン美術館には今もウラニアの像が立っていることを知りました。