なつのほし(第二夜)2023年07月31日 18時09分21秒

(昨日のつづき。タイトルを「なつのせいざ」から「なつのほし」に改めました。)


コマのようにくるくる太陽のまわりを まわって
います。そのため一日の同じ時間でも、空に見える
星座は季節によってちがうのです。
春、夏、秋、冬、いろとりどりに咲く花がちがう
ように、星空も たえずうつりかわっているのです。
 さて、今日は、みなさんに夏の星のお話をいたし
ましょうね。

…という流れで、まずは七夕の物語が語られます。


この紙芝居では、織姫は「天の王様の娘」である「織女姫」という設定です。
機織り好きの織女姫が、ある時期からぱたっと機織りをしなくなり、王様をいたく心配させるのですが、ある日その原因が露見します。

織女姫には 西の岸に住む 牽牛という
お友達が出来たのです。
(織女姫)『さあ、こんどは お舟にのってあそび
ましょうよ。」
まい日、まい日、織女姫は こうして
あそんでいたのです。

牽牛と織女を「お友達」とするのは、教育的配慮からかもしれませんが、ちょっと苦しいですね。

こうして天の王様の怒りに触れたふたりは、天の川の両岸に遠ざけられ、一年に一度しか会うことを許されなくなります。でも、

一年に一度のその日に 雨が降ると、川の
水がふえて 川が渡れなくなってしまうのです。


それを見かねた かささぎ鳥が
(かささぎ)『かわいそうに、私がわたして
あげましょう』
と、さっとつばさをひろげて 織女姫を
むこう岸にわたしてくれました。

―― 少しの間 ――

これが、七夕の、中国につたわる伝説です。

こうしてまず1つめの物語が終わって、次はおおぐま座のお話に移っていきます。

それにしても、この作画家は「かささぎ」を完全にサギと混同しているし、かささぎの橋の物語も、<サギの背に乗ってひとっ飛び!>みたいなイメージで描いているので、教育的にどうなの?と思わなくもありません。

おそらく当時の紙芝居業界は、同時代に隆盛をきわめた貸本漫画と同じノリで、とにかくどんどん数を出さないといけない…ということで、校閲とかもほぼノーチェックだったんじゃないでしょうか。

(第三夜につづく)

コメント

_ S.U ― 2023年08月01日 08時47分05秒

七夕の物語の教育的意図はよくわかりませんが、星図はとてもきれいですね。

それで、こと座の右下にある広がる星座、こんなところに星座があったっけ? と思いました。天の川のかたちと比べると、ヘルクレス座の一部らしいですが、ヘルクレス座の本体は、ヴェガの右上に離れて描かれていて、これは左足の部分なのでしょう。
 一瞬、消滅した「ケルベルス座」の再現かとドキっとしましたが、図の範囲の関係で、単にヘルクレス座が2つに分かれて描かれているだけですね。お騒がせしました。でも、ケルベルス部分の線のつなぎ方が異様に丁寧だと思います。

_ 玉青 ― 2023年08月01日 22時33分54秒

この絵師は何かのお手本を見て、ぱぱっと模写しただけで、特に深い意図はないんでしょうけれど、そもそもの元絵は何ですかね。抱影の星座解説本あたりでしょうか。

_ S.U ― 2023年08月02日 06時50分39秒

>元絵
自分への宿題にします。
線のつなぎ方に特徴があるので、しばらくは覚えていられそうです。

_ S.U ― 2023年08月02日 18時42分58秒

>元絵
続報です:
 この夏の星座の図とおおぐま座の図は、位置は不正確ながら、なんと、5等星、一部は6等星まで、本当の星に従ってプロットされているようです。だから、野尻抱影の並の星座案内本が元絵とは思えません。たぶん、肉眼星図レベルが元図でしょう。

また、星座線のつなぎ方に特徴があり、例えば、わし座の尻尾がツバメのように二股になっていますが、こんなのは私は初めて見ました。二股の先の暗いほうは5等星です。星座線付きの肉眼星図が元図で、それに星座絵を重ねたものかと思いますが、私の捜索可能レベルを超えます。村上忠敬星図、山本一清星図、草場星図、どれでもないように思います。私の知識ではアキラメです。識者の皆様よろしくお願いします。

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