竜と蛇とドラゴンと日食のはなし2024年01月22日 18時42分18秒

昨日書いたことに触発されて、思いついたことを書きます。
昔の中国人は竜が太陽をかじると日食になると考えた…という話のおまけ。

日食というのは、当然のことながら、天球をぐるっと一周する太陽の通り道黄道)と月の通り道白道)が交わるところで生じます(太陽と月がピタッと重なれば皆既食や金環食だし、微妙にずれれば部分食になります。もちろん軌道が交わったからといって、そこに本物の天体がなければどうしようもないので、日食というのはやっぱりレアな現象です)。

黄道と白道は、いずれも天球上の大円ですから、両者は必ず2箇所で交わります。

(角度にして5度ずれて交わる黄道と白道。両者の交点が昇交点(Ascending node)と降交点(Descending node)。ウィキペディアより)

上図のように、これを現代では「昇交点」「降交点」と呼び、また古代インドの人はそこに日食を引き起こす魔物が住んでいると考え、「ラーフ」「ケートゥ」とネーミングしました。この名は漢訳仏典とともに日本にも伝わり、それぞれ「羅睺(らごう)」「計都(けいと)」と呼ばれます。インドのラーフとケートゥはもともと蛇身の神らしく、それを引き継いでいるのか、日本の羅睺と計都も頭部に蛇が生えた姿で描かれます。

(羅睺と計都。同上)

一方、西洋の占星術では、古くから昇交点と降交点をドラゴンヘッドドラゴンテールと呼ぶと聞きます。


…となると、日食をめぐる中国の竜と、インドの蛇と、西洋のドラゴンとの間に、何かつながりがあるのかどうかが気になります。つながりがないとするのは、かえって不自然な気がするんですが、この間の事情にうといので、いまだ真相は不明のままです。詳しい方のご教示をいただければと思います。