浪の下にも… ― 2024年08月09日 17時06分23秒
浪の下にも都の候ぞ―。
二位の尼は幼い安徳帝にそう告げて、ともに壇ノ浦に沈みました。
波の底には都もあれば、山もあり、谷もあり、地上と同じように複雑な海底地形が広がっています。そこは陸地以上に広大なひとつの「世界」です。
(20万分の1 伊豆半島南方海底地形モザイク図、平成4年(1992)12月)
まあ、海の水が全部干上がってしまえば、地上も海底もなく、一連の凹凸があるだけでしょうが、水成作用が常時働いているという点で、海は陸上とは大いに異なるし、そもそも地殻の成り立ちが、陸とは少しく異なります(相対的に軽いのが陸、重いのが海)。そして常時水に覆われ、我々の目から隠されているせいで、人々に強烈な「異界感」を与えます。
(5万分の1 相模湾南西海底地形図、平成2年(1990)3月)
その異界の地図が海底地形図です。
海底地形図は、最初は船の座礁を避けるための岩礁調査や、大型船航行のための水深調査から始まり、さらに漁業振興のための漁場調査や、海底資源調査など、いろいろ実用目的で発展したのでしょうが、結果的に今ではずいぶん精密な図が作られ、ネットでも見ることができます。
(50万分の1 海底地形図「四国沖」、平成4年(1992)8月)
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南海トラフ臨時地震情報の話題で世間は緊張しています。
そもそも「トラフ」って何だろう?と思ったんですが、これは「舟状海盆」とも訳される海底地形を指す名称のひとつで、細長くのびた海底の盆地(海溝ほど深くないもの)を指すということを、さっき知りました。
トラフの成因はさまざまで、必ずしもプレート境界面に限られるものではありませんが、南海トラフや相模トラフは、ずばりフィリピン海プレートの沈降によってできたものなので、ここでプレートのひずみが解放されると、巨大地震になるということで警戒されているわけです。
今回の騒動で、例によって紙の地形図をパラパラやりたいと思い立ち、にわかに古物を購入することにしました。上の各図はすべて今回購入した商品写真の流用で、まだ現物は届いてません(何事もなく届くことを祈ります)。
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「浪の下にも盆の候ぞ。」
お盆の時期だから…というわけでもありませんが、当分は海の「盆」から目が離せない状況です。
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