雨は上がり、夜は明ける2024年11月17日 07時03分11秒



前回の記事を受けて、さらに考えてみました。

私にとってブログを書くことは、畢竟「暇つぶし」なのです。
暇つぶしとは元々意味がないものであり、「意味がないから暇つぶしをやめよう」とはなりません。そして暇がつぶれて、しかも自分がその内容に満足できるならば、これぞ時間の使い方としては上の部であり、やっぱり書かないよりは書いた方が好いのです。

したがって、もし私がブログをやめるとしたら、そこに金銭が絡んだりして、暇つぶしにふさわしくない性質のものになったときか、他人の評価はともかく、自分自身でその内容に満足できなくなったとき、あるいは、つぶすべき暇(心身の余裕と言い換えてもいいです)が失われたときのいずれかでしょう。

   ★

言葉を替えると、ブログを書くことは、私にとって旅のようなものです。
この先に何が待っているかは、私にも分かりません。でも、分からないからこそ続ける意味があるのです。

加藤久仁生さんのショート・アニメーション連作『或る旅人の日記』(2013)のラストで、主人公のトートフ・ロドルが心の中でつぶやいた言葉。

 「夜が明けた。
  心地よい朝の光を浴びながら、私は地図を広げた。
  この旅は、まだ続くのだ。」

それを噛みしめながら、私も次の一歩を踏み出すことにします。

コメント

_ S.U ― 2024年11月17日 10時15分03秒

これは、「天文古玩」さんへのコメントではまったくなくて、常の私の思惑と世間一般への雑感というようなものなのですが、なんでも「連載もの」というのは、ある程度続くと、マンネリを避けようとか価値を上げようとかの「欲」によって、「深化」していくように思います。深化は、哲学的、文芸・学問的には進歩ですが、ただただ難解化することが多く、読者を減らすことに繋がります。「大衆芸能」としてはおそらくほぼマイナス方向になると言えると思います。マンガ雑誌に載っている連載マンガの作家でも、天才と言われたのに深化して書けなくなってしまった人と、マンネリを恐れず長期連載で受勲するくらいの人に分けられるように思います。

 よって、マンネリを恐れないのも悪くはないのですが、それでは、金儲けでない場合は、暇つぶしのための暇つぶしになりかねず、そういうのは暇つぶしと言えるのかも怪しいので、マンネリも深化も恐れないという態度がいいのかもしれません。あるいは、マンネリ期と深化期を交互に繰り返すのがいいかもしれません。テレビ特撮ものは見ていないのですが、ウルトラシリーズとか仮面ライダーシリーズはそういう工夫をしているのではないかと思います。

_ 玉青 ― 2024年11月18日 07時10分16秒

S.Uさんの個人的所感に対し、私も個人的所感ですが、深化やマンネリに対する懸念は、読者を減らすことを恐れる心から生まれるものですから、それさえ放念すれば、まさに怖いものなしです(個人の日記を付ける人が、はたしてマンネリや深化を恐れましょうや・笑)。この場合恐れるのは、ただ一人の読者である自分がどう思うかで、「読み返した時に恥かしいことは書きたくないな」というのが、唯一の指針だろうと思います。

_ パリの暇人 ― 2024年11月18日 10時02分08秒

私も暇つぶしに"物"を蒐集し、仏語で "物"の雑文書きなどしています。
さらなる暇つぶしのため、当コレクションの一部をフランス国立図書館に寄贈することが決定しました。家族や友人からは冗談でしょうと言われましたが...。
しかし、暇にも限りがありますので、私の発見した "冗談主義" (我々の存在は冗談にしか過ぎない) の体系化には手付かずです。

_ 玉青 ― 2024年11月18日 20時44分57秒

>フランス国立図書館に寄贈

えっ!!それはおめでとうございます…というのも変かもしれませんが、でもBnFが寄贈を受け入れたということは、コレクションの価値を認めたということでしょうし、パリの暇人さんのコレクション(の一部)が散逸することなく、そのお名前と共に永く伝えられるのであれば、これはやはり欣快事であり、おめでたいことですよね。心よりお慶び申し上げます。

>冗談主義

伊達政宗は「この世に客に来たと思えば何の苦もなし」と人生訓を述べ、稲垣足穂は「私は世界の果てからネクタイを取替えに来た」と呟き、ある偏屈な古書店主は、エッセイで「冗談は人生だけにしておけ」と毒づきましたが、我々の存在は、かりそめのものであり、偶然であり、そしてやっぱり冗談なのかもしれません。パリの暇人さんの真意は那辺にありや、これはぜひ折を見てじっくり拝聴せねばなりませんね。

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