耳をすませば ― 2025年02月01日 16時32分29秒
棚の奥の埃を払っていて、久しぶりにこの品と対面しました。
総身の大半が巨大なコイルによって占められている、ごくシンプルな鉱石ラジオです。
まだ同調用のバリアブル・コンデンサ(バリコン)もなくて、このつまみを動かし、コイルと板バネの接点の位置を変えることで、異なる周波数を受信できるようにする仕組みです。
木と真鍮部品で組み上げた本体側面の表情。
その左上に位置するこのパーツが、鉱石(方鉛鉱)と細いワイヤからなる検波器、通称「猫のヒゲ(cat's whisker)」です。これぞ鉱石ラジオの心臓部。クルクル巻かれたワイヤの先で慎重に鉱石の表面を探って、電波をうまく受信できる位置を見つけるこの瞬間こそ、鉱石ラジオファンにとって最も心躍る時でしょう。
上とは反対側の側面。ラベル(後から貼られたものかもしれません)には「Radio」の文字が見えますが、それ以外はちょっと判読不能です。こちらにも真鍮製の端子が2つあって、たぶんアンテナとアース(接地線)用。
このラジオは、1920年代に作られたもののようです。
製造国は不明ですが、ヘッドフォンと同じく、本体もフランス製かもしれません。
最近、この手の話題が少なかったですが、こうして見るとやっぱりいいなあ…と思います。小林健二さんの作品も思い出すし、ジュブナイル・サイエンスというか、科学に向けて抱いた、少年少女の見果てぬ夢が、まだその辺に漂っている感じです。
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