星の句、星の歌2011年08月15日 06時12分42秒



天空を滔々と流れる大河。Richard Schurig 編の星図アトラス、Tabulae Caelestes continentes Omnes Stella Caeli (Leipzig, 1886)より。

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昨日の朝日俳壇・朝日歌壇から。

○スカル漕ぐ天の川へと転舵せり  (さいたま市)菊池洋子

○おほぐま座の森の神話を解きあへば
   迷ひこみたりふたりの銀河   (宇部市)乃間保歌

それぞれ大串章選・第一句、高野公彦選・第四首として挙がっています。

ふた月ばかり前、船で銀河をさかのぼる中国の故事や、たむらしげる氏の「銀河の魚」のことなどを話題にしたのを、菊池氏の句を見て思い出しました。
江戸期の俳人、井上士朗にも「一棹に舟漕入れよ天の川」という句があるそうですが、菊池氏の句はモダンで、いっそう清新です。

いっぽう乃間氏の短歌。静かな夜の語らいのムードも良いし、見あげる星明かりにすっと魂が吸い込まれるような、一種の浮揚感があって、これまた気持ちの良い歌だと思いました。

俳句の世界では、天の川は初秋の季語。
ちょうど今の季節が銀河鑑賞の適期…なのでしょうが、街中にいるとさっぱりですね。

星の美と神秘(3)…「銀河の魚」のこと2011年06月18日 10時29分44秒

これら2つの話を読み、また「銀海洋洋として異獣神魚その内に泳ぐが如し」という銀河の描写を読めば、たむらしげる氏の名作「銀河の魚」を思い起こさないわけにはいきません。

「銀河の魚」は、最初コミック作品として発表され(初出は「マンガ少年」1980年9月号)、その後アニメーション化され、その一部はYouTubeでも見られたり、見られなかったりします。
 
(↑すみません、ネットから適当に引っ張ってきたイメージです。以下も同じ)

主人公は天文学者の祖父と暮らす少年、ユーリ。
ユーリは祖父を手伝って星空を観測しているうちに、1つの見慣れない星を見つけます。こぐま座の脇に出現したその星のために、愛らしい小熊の姿は、巨大な怪魚へと変形してしまいます。天上で異変が起きていることを察知した二人は、妖星を討つべく、ボートに乗って川をさかのぼり、やがて光り輝く「星魚」の群れ泳ぐ銀河の中へと…

(「ゆるやかな川の流れをどこまでもさかのぼってゆくと〔…〕ぼくらのボートの下を汽車が通り過ぎ…水の底にもうひとつの海があった」 ‐コミック版より‐)

このストーリーが、中国の故事と同じ構造を持っているのは明らかです。
たむら氏が中国文学から想を得たのかどうかは不明ですが、おそらくは偶然の一致なのでしょう。いや、単なる偶然の一致というよりも、人間のイマジネーションには、時と所を超えた共通性があることを示す例なのかもしれません。

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物語の方は、みごと銛(もり)で妖星を仕留めたユーリと老人が、また川を下って自宅に戻り、それを天上の小熊がやさしく見守るシーンで終ります。

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野尻抱影は1977年に没したので、「銀河の魚」を目にする機会はついにありませんでしたが、もしそれが叶えば、たむら作品にどんな感想を抱いたか、翁に伺ってみたい気がします。

星の美と神秘(2)2011年06月16日 22時31分18秒



本業の方で突発的な出来事があり、ちょっと間隔が空きましたが、話をつづけます。

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この本で「おや」と思ったのは、銀河についての話題です。より詳しく言うと、地上の川をさかのぼると銀河に至るという話。

抱影翁の引く例でいうと、『荊楚歳時記』〔6世紀の成立〕に、前漢の人・張騫(ちょうけん)が、いかだに乗って銀河まで遡ったという話が出ているらしい。

改めて『荊楚歳時記』を見ると、七月の条にこのエピソードは出てきます。
漢の武帝が張騫を中央アジアに派遣したのは歴史的事実ですが、700年も経つとすっかり伝説化して、いかだで黄河をさかのぼった張騫が、旅先で牽牛・織女と出会うという話に転化しています。しかも、同じ頃、地上からは二星のそばに客星の出現が観測された…という、もっともらしい潤色まで施されて。

『星の美と神秘』には、さらに『剪灯新話』〔明代の伝奇集〕に出てくる、次のようなエピソードも紹介されています。

成令言というのは元代・天暦年間の人といいますから、今からざっと700年前のこと。
初秋のある日、小舟を千秋観〔というのは道教寺院の1つでしょう〕の下に泊めた令言は、鮮やかな銀河を仰ぎ見て、宋之問の古詩「明河篇」を吟じているうちに、世を捨てて仙人になりたいという思いを抱きます。すると小舟がするすると動き出し、まるで何かに引っ張られるように、一瞬のうちに千里を進み、ついに見慣れぬ場所にたどり着きます。

抱影翁の訓みによって原文をあげれば、寒気人を襲ひ、清光目を奪ふ。玉田湛湛として、琪花(たまのはな)瑶草(たまのくさ)その中に生ずるが如く、銀海洋洋として異獣神魚その内に泳ぐが如し」。

令言はそこで織女と言葉を交わして…と話は続くのですが、翁の引用は途中で終っているので結末は不明です。

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いずれも、地上の川をさかのぼれば、人はいつか銀河に行くことができるという、切なくも美しいイメージが基本にあります。「銀河鉄道の夜」のように、突然、場面が転換するのではなく、地上と天上は切れ目なく連続しているのだ…という観念が、今の私には一層好ましく感じられます。

(この項つづく)

銀河のガラス模型…キュービック編(7)2010年06月26日 21時20分17秒

さて、最後に取り上げる銀河のガラス模型は、2.5センチ角の小さな小さな銀河です。
実はこの品はずっと以前にも取り上げているので、製品に関する詳細はそちらをご覧ください。

■手のひらに乗る銀河
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/10/18/565987

この銀河模型は、はっきりとした元データがあるわけでもなく、あくまでもイメージ程度の品なので、特に新たに書き加えることはありません。(手のひらというよりも、これは「指先でつまめる」銀河ですね。)

それにしても、記事を読むと、我ながらとても懐かしいです。
『銀河鉄道』云々と言っている点は今とまったく同じですが、何だか書き方が初々しい。当時はまだ、これ以外の銀河模型を持っていなかったことも分かります。

この4年間、モノが増えたばかりでなく、来し方を振り返ると、本当に思うこと多々。私の人生において、この4年間は大きな変化のあった時期なので、わずか4年前のことが、ずいぶん昔に感じられます。

―いや、自らの精神と肉体に生じた変化の数々を見れば、4年間は決して「わずか」な時間ではありません。そして、それらの変化が不可逆であることを思うにつけ、時間の矢は一方向にのみ進むことを痛感させられます。

このオモチャめいた銀河模型をコロコロ転がしていると、銀河も、自分も、ほんの束の間存在を許された、有限の存在なんだなあ…ということが、ボンヤリと感じられます。

銀河のガラス模型…キュービック編(5)2010年06月22日 06時23分00秒

さて、眠気の取れたところで昨日の続き。
この品はイギリスのクリスタル・ネビュリー社の製品です。

サイトを見ればお分かりのように、同社の製品は、土星のモデルを昨年紹介済みです。

■みんな土星が大好き…The Crystallized Saturn
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/10/01/
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/10/04/

で、今回は銀河の模型。
同社の説明によれば、これは250垓分の1(=2.5×10の22乗分の1)モデルだそうです。ということは、電卓を叩くと、このキューブの1辺はざっと16万光年。

(↑下の「The Milky Way」という文字もレーザー加工)

先のリビングワールド社のものは、1辺が10万光年という触れ込みでしたから、それを基準にすると、もうちょっと渦巻きが小さく表現されても良いような気もしますが、この辺はもう誤差の範囲ということでしょうか。

このモデルは近赤外線で見た銀河系を表現したもので、原型はノッティンガム大学のMichael Merrifield 教授が制作しました。高性能のYAG(ヤグ)レーザーで打ち込まれた点の大きさは50ミクロン、その総数は30万個に及びます。リビングワールド社のものは8万個の点から表現されているので、単純に数だけ較べれば、非常に高精細なモデルです。

(↑斜めから見た銀河。リアル!)

とはいえ、これはやはり「モデル」であって、銀河系の姿そのままではもちろんありません。

「この模型のレーザー打点密度は、銀河系内での実際の恒星の
密度を忠実に反映しており、その意味ではリアルな縮小モデルと
いえます。しかし、球状星団以外の個々の星は、実際の位置に
置かれているわけではありません。というのも、ガラスの中の打点は、
恒星と1対1対応するものでは決してありえないからです。つまり、
この模型はわずか30万個の点からできているのに対し、銀河系
には約1000億個の恒星が含まれており、しかも、このちっぽけな
点ですら1つの恒星と見なすには大きすぎます。この模型の縮尺で
いうと、1個の恒星は原子よりも小さくなってしまうのです!」
(同封パンフレットより)

なるほど。「真の銀河」は、このモデルの背後に心眼で見る必要があるわけですね。

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この製品、イギリスからの送料込みで55ポンド。今だと約7500円ですから、これは相対的にリーズナブルな価格と言えるのでは。

銀河のガラス模型…キュービック編(4)2010年06月21日 21時36分38秒

昨日は、いつになくアクセスカウンタが回りました。
これこそ日本人が虫好きである何よりの証拠です。
(直接的には、例の朝日の記事がツイッターで呟かれたせいらしいですが、いずれにせよ、それだけジェシカさんの言葉が多くの人の心に響いたということでしょう。)

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さて、話題を元に戻して、涼しげな銀河模型の話を続けます。
2番目の銀河はこれです。


6センチ角なので、リビングワールド社のものより小振りですが、細工はいっそう細かいです。

…と書き始めたところですが、体調と相談して、今日はゆっくり眠ることにします(暑さのせいか、少し疲れが出たようです)。模型の詳細はまた明日。


銀河のガラス模型…キュービック編(2)2010年06月16日 20時39分25秒



まずは、日本のリビングワールド社製の模型から見ていきます。
これは商品名を「太陽系のそと Beyond our solar system」といいます。


キューブの中心と銀河系の中心がずれているのは、キューブの中心に太陽系が来るよう作られているからです。一事が万事この調子で、作り手のこだわりが随所に感じられます。

この「太陽系のそと」には、12センチ角と7センチ角の大小2つのバージョンがあって、わが家のものは小さいサイズです。

同社からは最初に「大」が出たのですが、お値段はなんと84,000円。これは別に「ぼって」いるわけではなくて、素材も加工技術も一定の水準をクリアすると、自ずとそれぐらいになってしまうのだそうです。
しかし、さすがに誰でも買えるという値段ではないので、もっと多くの人に手にとってもらいたい…という願いを込めて、画像の精細度を多少犠牲にしたエコノミー版の「小」が、後から発売されました。こちらは15,750円というお値打ち価格。

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この品は購入順から言うと、いちばん新しく届いた品です。それを最初に取り上げる理由は、「銀河系モデル」というものの性格を説明するのに、最も相応しいと思うからです。付属のパンフレットには、その辺の事情がこう書かれています。


「私たちの銀河系を、こんなふうに外から見たことがある人間は、
まだ一人もいません。地球も以前はそうでした。
その姿を外から俯瞰的に見た人は、一人もいなかった。
〔…〕にも関わらず、世界地図はその何百年も前から存在している。
探索と測量と想像力で描かれた、情報と経験の集積。

〔…〕じつは銀河系の3Dデータも、大航海時代の世界地図と同じ
状況なのだそうです。すべてを知っている人はいない。銀河の
中心部を隠すガスの雲の向こう側は、電波望遠鏡などをつかっても、
まだ十分に捉えきれません。
最新の観測装置で捉えられる限りの恒星データと、コンピュータを
駆使した理論計算。そして、想像力で足りない部分を補いながら、
世界各地の研究者が銀河系の地図を描き、たがいに見比べている。
人類は宇宙について、そんな時代を生きている。」

大航海時代の世界地図と同じ状況―。分かりやすい比喩ですね。
モデルによって差がある理由は、現代の宇宙科学自体の制約に由来するわけです。

人類が宇宙の大航海に出発し、文字通りその目で銀河を俯瞰する日がくるかどうかは分かりませんが、理論と観測手段と計算能力の進歩によって、今後もさらに正確な地図が作られ続けることは間違いないでしょう。そうなると、こうした銀河模型は、昔の奇妙に歪んだ世界地図のように、アンティークムードを感じさせる品になるのかもしれません。

(とはいえ、現在の私たちは、仮に未来の「より正確な銀河地図」を見せられても、「え、どこが違うの?」という感じで、あまり差を感じないかもしれません。いっぽう未来の人は、現代の地図の歪みを鋭敏に感じ取ることでしょう。認識能力の向上とはそういうものだと思います。)

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この模型は、「国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト(4D2U)」のデータを元にしています。


「4D2Uの銀河系データは、小久保英一郎さん(国立天文台)と加藤恒彦さん(現大阪大学)が、理論シミュレーションの最新成果をもとにつくりだしたもの。世界でも、現時点でもっとも良質な銀河系のデータの一つとして認められているそうです。」
(上記付属パンフレットより)

補足すると、より直接的には、4D2Uのサブプロジェクト、「4次元デジタル宇宙ビューワー"Mitaka"(ミタカ)」で使われた銀河モデルを実体化したもの。Mitakaはフリーウェア(太っ腹!)なので、こちらもぜひダウンロードの上、ご覧ください(http://4d2u.nao.ac.jp/t/var/download/)。

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上に引用させていただいた内容を含め、製品についての解説や、商品開発の舞台裏は、リビングワールド社のサイトに詳細な記述があります。

■リビングワールド(トップページ)http://www.livingworld.net/
  □太陽系のそと(大サイズ版)http://www.livingworld.net/works/galaxy/
  □同(小サイズ版)http://www.livingworld.net/works/galaxy-mini/

銀河のガラス模型…キュービック編(1)2010年06月15日 06時14分53秒

はやぶさも無事帰還を果たしました。
「けなげ」という言葉がよく似合う存在でしたね。
相手は機械とはいえ、最期の散華のシーンでは、思わず胸のうちで手を合わせ、後生を弔う気分になりました。
とにもかくにもお疲れさまでした。

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さて、銀河模型の話題を続けます。

近年、クリスタルガラスの中に銀河を封じ込めた模型が、いくつかのメーカーから売りに出ています。現実に存在する<銀河のガラス模型>といえば、こういう品がそれだということになります。

手元には、今のところ4種類あります。他にもあるかもしれませんが、とりあえずそれらを順番に見ていこうと思います。(形状も時代背景も合わないので、「ジョバンニが見た世界」というタイトルは外します。でも賢治つながりなので、カテゴリーは賢治に入れておきます。)

写真でもお分かりのように、同じ方法で同じものを目指したはずなのに、出来上がりは四者四様、かなり違います。その点に、現代の宇宙科学が提示する銀河像をふり返る手がかりもありそうです。

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本題に入る前に、こういうガラスのレーザー加工は一体いつから始まったのか?ということをメモ書きしておきます。

なかなかピッタリの情報が見つからなかったのですが、探しているうちに英語版のウィキに関連記述があるのに気付きました。

■Wikipedia:Laser engraving
 http://en.wikipedia.org/wiki/Laser_engraving
 (末尾に下記の記事が載っています。)

「要出典」の多い、ちょっとあやふやな記述ですが、参考までにあげておきます(文意不明の箇所が複数あるので超適当訳です。再引用不適)。


+++++++++++++++++(引用ここから)+++++++++++++++++++

『表面下レーザー彫刻(Sub-surface laser engraving ;SSLE)』

表面下レーザー彫刻とは、レーザー光の歪みを最小化するよう、光学的な透明性を備えたソリッドな素材(通常はガラス)を用い、その表面下に画像を彫刻する技法である。

1990年代後半に登場して以来、SSLEは低コスト化が進んでおり、今では小は3万5千ドル~6万ドル以下のものから、大は大型製品用の25万ドル以上するものまで、各種サイズの機械が存在する。ただし、徐々に入手しやすくなってきているとはいえ、これらの機械は現在でも世界中で2,3百台しか稼働していないものと推定されている[要出典]。これらの機械を適切に使用するには、費用のかさむ冷却、メンテナンス、それに較正作業calibrationを必要とすることが多い。

レーザー・ダイオード(すなわち、パルス固体レーザーを励起する心臓部)のおかげで、機械本体および一定時間内に実行可能な機能の単価は、おそらく3分の1程度まで低下している [要出典]。

過去5年間で、SSLEの利用によって、土産物用「クリスタル」や販促物品の内部に3D画像を作ることが低コスト化したため、大型ないし特大サイズのクリスタル・デザインを専門にするデザイナーはごく少数である。

3D画像や写真を撮影し、それをクリスタルに刻むという方法で、現在多くの企業が記念品の受注生産に応じている。販促部門や個人サービス部門の担当者(写真彫刻士)によっても、そのデザインと像の品質には非常に大きな差があり、各種グッズを大量生産している業者の場合は、たいてい刻み込む点の解像度を下げることで、半導体レーザーの延命を恒常的に図っている[要出典]。 

+++++++++++++++++(引用ここまで)+++++++++++++++++++

なるほど、10年ちょっと前に市場に登場したのですね。ええ、そんなものでしょう。そのときのことは何となく覚えています。
初めて見たときは、その製品にも技術にも、少なからず感動しました。当時はそれだけ「大した品」だったのです。それがいつの間にか陳腐化して、今ではお土産用のキーホルダーにまでなって、有り難味はすっかり薄れたのでした。

(この項つづく)

ジョバンニが見た世界…銀河のガラス模型(5)2010年06月12日 09時43分26秒

明日はいよいよ「はやぶさデー」ですね。
何となく落ち着きませんが、あわてず騒がず記事の方を続けます。

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この「ジョバンニが見た世界」という企画は、「現実に存在するアイテムで銀河鉄道の世界を再現する」ことが目的なので、創作めいたことは御法度です。しかし、この銀河のガラス模型については、現実世界に見出すことが望み薄なので、数寄心から(←大げさ)試作してみました。

最初は、透明硬化樹脂と銀ラメを使って、小林氏のモデルのようなものを作ろうと思ったのですが、技術がないし、費用もかかりそうだったので断念。既存のものを組み合わせて、何とかそれらしくできないかと思って注目したのが、昨日の松田氏のモデルなのです。

松田氏のモデルの良い点は、両凸レンズを使わなくも済むところ。大きな両凸レンズで、しかも曲率が大きいもの(=分厚く盛り上がったもの)は、あまり使い道がないせいか、探してもなかなか見つかりません。しかし、松田氏のモデルならば、とりあえず片面だけ凸ならばOKなので、ジャンク品でそれっぽいものが手に入りそうです。


実際に私が買ったのは、片面凹、片面凸のレンズで、元は照明機器に使われていたものだろうと思います。直径は大きければ大きいほど良かったのですが、とりあえず16センチ径で満足することにしました(それでも相当重いです)。

木枠は、東急ハンズで買った、24cm径の円形と八角形の板に穴開け加工をしてもらい、両者を接着して、適当に塗装しました。2枚の板を貼り合わせたのは、単にレンズの厚みに合わせるためですが、結果的に装飾性が増した感じです。

銀の粒はどうしようもないので、レンズの下に星の写真を敷いて、雰囲気だけ味わうことにします。探してみたら、アメリカで1950年代に市販されていた天体写真の中に、ヘルクレス座の球状星団(M13)を写したものがあって、サイズ的にぴったりでした。シートサイズはA3よりもさらに大きい、大判の写真セットです。当時のSky & Telescope 誌の広告を見ると、パロマー山天文台などで撮影された、この手の写真が盛んに売られており、これもその1枚でしょう。


以上の素材を組み合わせると、こんな感じ。


木枠からのレンズの盛り上がりもたっぷりとしています。


そっと覗けば、ガラスの海の底に、漆黒の空と一面の星!


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たぶん、これは賢治がイメージしたものとはだいぶ違うでしょう。
ですから、これはあくまでも「参考出品」という位置づけです。