星の道によせて2013年11月27日 20時58分53秒

(W. Peck, A Popular Handbook and Atlas of Astronomy, 1890 より)

天に天道、地に人道。
人には人の、星には星の道があり、各々道を守ってこそ世界の調和が保たれる…と古人は説きます。


本来、人の道もこれぐらい単純明快なものだと思いますが、現実の人間は絶えざる摂動によって、概ね予測不能なコースをたどります。軌道要素を定めることもままならぬ、まさに無道な振る舞い。


それを迷いと見るか、「味」と見るか。まあせいぜい良い味になってほしいものです。
ゆめ「非道」な振る舞いとなりませんように。

(自分でも何を言ってるのかよく分かりませんが、とにかくいろいろ思わしいことの多い日々です。)

星のお菓子2013年05月11日 11時12分51秒


(PARLOR RED COMET のメニュー。 鴨沢祐仁・『クシー君のピカビアな夜』より)

蛍以下さんに、なんとも素敵なコメントをいただきました。
http://mononoke.asablo.jp/blog/2012/03/29/6393910#c6805694
惑星を飴玉にするならば…という話題です。

蛍以下さんご自身は、「あまりしっくりこない」と言われながらも、下記のような提案をされました(蛍以下さんの苦心については、コメント欄でご確認を)。

 水: 水色でラムネ 
 金: オレンジ
 地: 青と白のマーブル(ソーダとミルク)
 火: 赤でイチゴ味
 木: チョコバナナ味
 土: 緑でメロン
 天: 黄緑でマスカット
 海: ソーダ
 冥: 薄荷
 太陽: パイン
 月: レモン


しっくりこないどころか、なかなかどうしてピッタリのラインナップではないでしょうか。

   ★

この話題は、稲垣足穂の「星を売る店」を、ただちに連想させます。
神戸の山ノ手のとある街角で、青く輝くショーウィンドウに目をとめた主人公。不思議に思って近づいて見ると…

「何と、その小さいガラス窓の内部はきらきらしたコンペイ糖でいっぱいではないか!
 ふつうの宝石の大きさのものから、ボンボンのつぶくらいまで、色はとりどり、赤、紫、緑、黄、それらの中間色のあらゆる種類がある。これが三段になったガラス棚の上に乗せられて、互いに競争するように光っている。」

店員に問いただすと、その正体は紛れもなく本物の星だという話。世界でいちばん天に近い、エチオピア高原の某所で、現地の男たちが先に袋のついた長い竿で集めたもので、エジプト政府も承認済みの確かな品だと言います。

この星はカクテルに入れてよし、粉末にしてタバコに混ぜれば、「ちらちらした涼しい火花が散って、まことに斬新無類の夏向きのおタバコ」にもなるし、さらにフラスコに入れて加熱し、その蒸気を吸えば「オピァムに似た陶酔をおぼえ、その夢心地というのがまことにさわやか」という、ちょっと怪しげな代物。
その味わいは「紅いのはやはりストローベリ、青いのはペパーミント。みどり色のは何とかで、黄色はレモンの匂いと味とに似かよっている」と言います。

個々の惑星に対する言及こそありませんが、「星を食べる」という文学的趣向は、足穂の創案になるものと思います。

   ★

さて、現実世界に存在する惑星キャンディとはどんなものか。
蛍以下さんは、かつて『月間天文』誌の広告で、それらしい品を見た記憶があると書かれています。それがどんなものだったか、今検索した範囲では分かりませんでしたが、その代わり以下のようなページを見つけました。

太陽系のキャンディーが登場し話題に!!
 太陽系8惑星+冥王星と太陽の10本セットで約1400円で発売
 http://irorio.jp/sousuke/20120910/27386/

内容は、Vintage Confectionsというアメリカのお店が、惑星の棒付キャンディを売り出したというニュースで、そのオリジナルの販売ページは以下(送料約25ドルで日本からも注文可能)。



なかなか美しいキャンディですね。
ただし、画像から判断する限り、これは食用インクを使ってプリントした惑星の写真を、透明なキャンディに埋め込んであるだけのように見えます。とすると、アイデア賞的な面白さはありますが、製菓技術として、格別ヒネリが利いているとも言い難い。
またお味の方は、上の日本語の記事には「綿菓子味とイチゴ味の2種類あるらしい」と書かれていますが、オリジナルページにはそういう記載がないので、全部同じ味なのかもしれません。

   ★

それよりもむしろ驚くべき製品は、上の飴玉の次に紹介されている、惑星モチーフのチョコレートです。こちらは日本のメーカーが販売しているもので、そのページは以下。

勝手キャプチャーで恐縮ですが、その美しいデザインと、ヒネリの利いたフレバーをぜひご覧いただきたい。


最初見たとき、私の惑星イメージとずれているものもあったのですが、でもこれはお手本とする画像によって、だいぶ変わってきそうです。たとえば、下の画像を見ると、このチョコの惑星たちは、むしろ至極リアルに造形されていることが分かります。


   ★

さらに、さらに、さらに驚くべき品は、同じメーカーが手掛けた「隕石チョコ」。

輝seki(きせき)隕石チョコレート8粒入
  http://www.melissa-ec.jp/products/detail.php?product_id=24

これは単に「漠然と隕石をイメージしたチョコ」ではなくて、隕石から発見された鉱物、「コスモクロア輝石」〔ウィキペディア〕と、世界7大陸で発見された実在の隕石7種をイメージして作られたという渋い、あまりにも渋すぎる品です。

以下に、その内容をそのままコピペさせていただきます。

Orgueil オルゲイユ隕石(ヨーロッパ大陸・フランス))
 1864年に落下。  最も大きい炭素質コンドライト。太陽系の初期の段階の様子をよく 保存しているといわれる。味:ビターチョコレート×カシス&マロン
Tatahouine タタフィン隕石(アフリカ大陸・チュニジア)
 母天体は小惑星ヴェスタだと考えられている隕石。1931年落下。味:ビターチョコレート×プラリネアーモンド
Henbury ヘンバリー隕石(オーストラリア)
 鉄隕石。鉄とニッケルの合金でできた宇宙の石。惑星の核部分と考えられている。1931年発見。味:ホワイトチョコレート×アプリコット&オレンジ
Pallasovka パラソフカ隕石(ユーラシア大陸・ロシア)
 鉄ニッケル合金とケイ酸塩化合物からなる隕石。1990年に発見。味:ビターチョコレート×プラリネヘーゼルナッツ
Kiseki 輝石に咲く華(コスモクロア輝石)をイメージ
 隕石より発見された初めての鉱物、「コスモクロア輝石」をイメージ。奇跡的に咲いた一輪の華。皆様に奇跡が起こりますように…。味:ホワイトチョコレート×グレープフルーツ&アールグレイ
Yamato86032 ヤマト86032隕石(南極)
 月は29億年前まで火山活動があり、新しい岩石が作られていた。原初の状態を保っている月隕石。味:ビターチョコレート×ブルーベリー&ホワイトバニラ
Canyon Diablo キャニオン・ディアブロ隕石(北米)
 隕石の研究により、クレーターは隕石衝突に起因するものと判明。19世紀発見。アリゾナ隕石孔のまわりで発見。味:ビターチョコレート×フランボワ&塩キャラメル
Allende アエンデ隕石(南米)
 太陽系成形の鍵を握る、初期太陽系星雲の凝縮物や星間微粒子が含まれている。味:ビターチョコレート×ピーチ&ドンペリニヨン

この商品を開発した人は、いったい何を考えているのでしょうか?
なぜここまで細部にこだわる必要があったのか?
もちろん、これが科学館のおみやげなら分かるのです。しかし、この品は一般に販売している、いわゆる「高級ショコラ」ですから、その辺がなんとも謎です。でも、私はこういう品が大好きなので、隕石チョコと、その作り手の方に最大級の賛辞を送ります。

LIVE!太陽系2012年03月29日 21時09分23秒

桜のつぼみがふくらみ、宵に入ってもなお、春の気配が辺りに濃く漂っているのを感じます。

仕事の帰り道、西の空がからっと開けた場所があって、ここしばらくは金星、木星、月の競演が続いています。それらを結んだ先には、まだ沈んだばかりの太陽の存在もしっかりと感じ取れます。

巨大な太陽、内惑星、外惑星、そして我らが地球。さらにその周りを回る白銀の衛星。

「ああ、自分は今、CGでもプラネタリウムソフトでもない、『生の太陽系』を見ているのだなあ…」と、空を見上げるたびに心がかすかにふるえます。

きっと、コペルニクスやケプラーの時代の人々だったら、もっと劇しい、灼けつくような昂奮を眼前の光景に覚えたのではないでしょうか。

ケプラーの多面体宇宙モデル2011年07月08日 22時08分10秒

『ケプラーの憂鬱』 も残すところあと30ページ。
いよいよケプラーの人生が幕を下ろす間際まで来ました。

   ★

天王星が発見されたのは1781年で、これは周知のように ― と、ハーシェル協会員としてあえて書きますが ― ウィリアム・ハーシェルが成し遂げた偉業です。

それ以前は、誰もが水・金・地・火・木・土の6個しか惑星はないものと思っており、当然ケプラーの時代もそうでした(もっとも、地球は惑星ではないと考える人も大勢いましたが)。

ふつうの人であれば、それを自明の前提として受け入れるだけでしょうが、ケプラーは妙な問いの立て方を好む人だったのか、惑星の数はなぜ6個しかないのか? そして、なぜ今あるような軌道間隔を描いて回っているのか?」という点にこだわりました。

ケプラーの第1法則~第3法則は、彼の天才的な思索の結晶であり、科学史における偉大な事件と言ってよいのでしょうが、直接上の問いに答えるものではありません(問いの後段については、部分的に答えているかもしれません)。彼としては、それ以前に世に問うた『宇宙の神秘』で開陳した、多面体宇宙モデルこそがその答でした。
 
(↑『ケプラーの憂鬱』より)

(↑上図中央部拡大。出典=ウィキメディア・コモンズ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Kepler-solar-system-2.png

「惑星はなぜ6個しかないのか?」
それはこの宇宙に正多面体が5個しかないことに対応しているのだ。

「惑星はなぜ今あるような軌道間隔を描いて回っているのか?」
入れ子になった正多面体に内接する円を描いてみよ。まさに惑星の軌道がそこに浮かび上がるではないか!

これは単なる思い付き以上のものではなく、言ってみれば一種の奇説に過ぎませんから、彼の三法則と同列には論じられないでしょうが、しかし彼はこの考えがいたく気に入っていたようです。(少なくとも小説の中ではそうです。そして著者のバンヴィルは、この説を受けて、小説全体の結構に、ある巧妙な仕掛けを潜ませているのですが、それはまた次回。)

   ★

そういえば、以前、ペーパー・オーラリーを紹介したときに、この宇宙モデルのペーパークラフトが、チラリと顔を出しました[商品情報]。なんだかペラペラしていて、もうちょっと重厚さが欲しい気もしますが、ケプラーを身近に感じるには手ごろな品かもしれません。


(正多面体の話題に移りながら、この項つづく)

天文古玩・再考(9)…オーラリーと天球儀(3)2011年05月06日 17時08分08秒

このシリーズはけっこうしんどいです。
というのも、かなり無理をして書いているからです。

たしか望遠鏡の記事を書いたときに、「鶏口牛後」とか「本物志向」とか、強く出たわりに、オーラリーと天球儀については、本物の古玩が登場する可能性は限りなくゼロに近いです。それぐらい、壁の厚い世界です。再三お金のことを言って恐縮ですが、「古いものは高い」という、非常にシンプルな世界なので、その中でいったい何をどう再考すればいいのか、若干戸惑いがあります。

しかし、落ち着いて考えてみれば、私が直面している問題は、我が国の(←なんだか話が大きいですね)平均的趣味人が等しく抱えている問題であり、そうした限られた資力の中で可能なことは何か?を書くことには、それなりに意味があるかもしれません。

   ★

ところでお金のからむ話として、1つの情報をお伝えします。
以前記事にしたデアゴスティーニのオーラリー(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/01/16/4061703)、あれが新品として叩き売りされているという、購入をためらっていた方には朗報ですが、正規の価格で購入された方にとっては、かなり衝撃的なニュース。


まさにデアゴのオーラリーそのものです。それが今なら399ドル。送料が109ドルと大分かさみますが、それでも合計約500ドルですから、ちょうどデアゴの半額です。電圧はちゃんと日本向けに調整してくれるそうで、その組み立て済みの新品が上記の価格。

いったい何が起こっているのが一瞬分かりませんでした。
でも、売り手の所在地を見て納得しました。この品は中国の深セン市(センは土偏に川)が発送元になっています。要は、デアゴのオーラリーの製造を請け負った中国メーカーが、そのまま独自に製造を続けて(権利関係がどうなっているかは不明)、安売り攻勢をかけている…のではないかと思います。

なんとも商魂たくましいというか、でもこれで利益が出るのですから、デアゴも結構マージンを取っていたんだなあ…と思わなくもありません。
私自身は購入の予定はありませんが、発売当時、「半額なら買う」と言っていた人が結構いた記憶があるので、とりあえず判断の材料に供したいと思います。

ちなみに、その後デアゴから出た「三球儀タイプ」も、439ドル+送料109ドルで販売しているそうです(これもちょっと気になりますね)。



それにしても、いずれこの会社から買った人が、中古で再出品したら、それこそ価格破壊でしょうね。。。


【付記】
スチームパンク大百科(by 麻理様)の記事を読むと、元々イギリスでの売価は日本の半額だったそうで、そうなると「叩き売り」というほどでもないですね。
正規版がドル建てでいくらだったか不明ですが、イギリスの例だと、正規版は307ポンド(約4万円)、そして上の中国版は、イギリスのeBayにも出品していて、そちらは現在243ポンド(約3万2千円)、つまり正規版の2割引きです。
もともと日本の価格が高過ぎたのかも…。

PLANETICA…プラスチックの太陽系2011年05月04日 20時21分31秒

連休も中盤ですね。
さて、今日も番外編。オーラリーの話のついでに、ちょっと便利な品を載せます。


任意の時点の惑星の位置を手軽に調べることができる小道具、「プラネティカ」。
フランスで生まれた、現代の手動式オーラリーです。直径は14cm。

この品、いざ写真を撮ろうと思うと、光が映り込んで、撮影が難しいです。


というのも、どら焼きというか、シンバルというか、表面の形状が独特のカーブを描いているからです。


↑裏側もどら焼き状態。据わりが悪いことこの上ないですが、これがフランスの造形感覚なんでしょうか。


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使い方は簡単です。


まず外枠(透明カバー)を回して、年月日をセットします。すると、それに連動して惑星がその日のポジションに移動します。内部では沢山歯車が回っているのでしょうが、それはすべてブラックボックス化していて、外からは見えません(スケルトン版がほしい…)。


残念ながら、実際に動くのは天王星までです。海王星と冥王星(発売当時はまだ惑星でした)は、あらかじめプリントされたドットを見て、その位置を判断します。


次に地球をはめ込んだ円盤を回して、時刻をセットします。それによって、同時に東西南北の方向も定まります。自分の体の向きをそれに合わせれば、今惑星がどちらの方向に見えるかが分かる仕組みです。

ためしに、今日の惑星の位置を表示してみました↓


太陽を間において、お行儀よく列を作っています。
念のため、先日の「電脳惑星儀」と比べてみると(向きを揃えるため180度回転)↓


いちばん外側の海王星が列を乱しているので、「惑星直列」とはいきませんが、確かに同じ配置(当り前か…)。


底部のボタンを押すと、中央の太陽(LED)が点灯します。
全体にとてもよく出来ていますが、構造的限界のため、表示できるのが1970年~2049年に限定されるのが玉に瑕。

   ★

この品、今でもいろんなところで通販していますが、結構店によって値段が違うようです。購入される場合は、買う店を選んだほうが良いですね。

かつて人々は肉眼と脳髄だけを武器に宇宙の構造に挑んだ2011年04月18日 21時13分27秒

桜も散りはて、今日は雨。
柔らかい雨だれの音がずっと聞こえています。

   ★

前の記事で、「コペルニクスの太陽中心モデル」と「ティコ・ブラーエの地球中心モデル」というのが出てきました。単純に「地動説」と「天動説」と言っても同じことですが、天動説には、いろいろなヴァリエーションがあるので、こういう細かい言い分けが必要になるわけです。

↓は1719年にパリで出た地図帳(Jacques Chiquet, Le Nouveau et Curieux Atlas Geographique et Historique)から取った一葉。アーミラリー・スフィアを中心に、宇宙体系をめぐる諸説が図示されています。

まずは、おなじみのコペルニクスの体系。

そして、ティコ・ブラーエの体系。

こちらは天動説の「本家」、プトレマイオスの体系です。

ゴチャゴチャして分かりにくいので、さらにアップ。

中心には土と水からなる地球があり、周囲を空気と火が取り巻いています。その上には月天(月の巡る世界)、水星天、金星天…が重なり、最後は恒星天、原動天を経て、至高天にいたります。『神曲・天国篇』で、主人公が辿るのはこの道です(と言っても、読んだことはありませんが)。

さらにもう1つ、「複合体系(System Composé)」というのが出てきます。

5世紀の学者、Martianus Capella によるモデルで、これも天動説のヴァリエーションの1つ。「プトレマイオスとティコの折衷」という意味で「複合体系」と呼ぶのでしょうが、もちろん歴史的には、ティコよりもはるかに先行するものです。
太陽を中心に水星と金星が回る、このカペラの説を、コペルニクスも大いに賞賛したとか。

望遠鏡が発明される以前、天文学者たちは知性と想像力の翼に乗って、「神のみが眺めうる世界」に近づこうとしました。これらの体系図は、その紙碑と言えるかもしれません。

   ★

この銅版画が刷られたのは1719年。
このブログに登場するのは、19世紀以降のものが多く、18世紀の品はややアウェイ気味ですが、でもこういうのを本来の天文骨董というのかもしれません。
そんなことを踏まえながら、「天文古玩・再考編」に入る予定。。。

回る!惑星儀2010年11月14日 15時13分42秒

磁石の力で空中を浮揚する地球儀でおなじみのステラノバ社。
その製品は、このブログにも以前登場しました(http://mononoke.asablo.jp/blog/2009/11/25/4720913)。

最近、同社から同じコンセプトで、惑星儀シリーズというのが出ているのを知りました。
(以下の画像は↓のページから勝手拝借しました。製品仕様についてもこちらを参照してください。http://www.ultimateglobes.com/Stellanova-Globes-s/237.htm



探査機ジュノーに乗り込む(?)ガリレオの骨よりも一足先に、木星遊覧としゃれこむか!…とも思ったのですが、このシリーズは日本にはまだ入ってきていない模様。

まあ、探せば日本に発送してくれる業者も見つかるでしょうけれど、ただ、惑星探査機を模した架台パーツが、個人的に今一つ垢抜けない感じがして、注文に踏み切れずにいます。できれば惑星だけが静かに浮んでいて欲しかった。


この土星もなかなかカワイイんですが、うーん、ちょっとデフォルメがきついかな…

というわけで、この惑星儀はもうちょっと様子見です。
もし一足先に購入される(された)方がいらっしゃれば、どんな塩梅かご教示いただければ幸いです。

【付記】 電源の問題もありますが、アメリカ向け仕様だったら、たぶんそのまま動作するのではないかと踏んでいます。


空の青、本の青(4)2010年09月05日 20時12分19秒

(昨日のつづき)

「では、太陽系の果てを超えた場所から、彗星号に乗りこむことにしよう。」

この彗星の旅は完璧な空想旅行なので、著者はいきなりいちばん遠い場所からスタートします(そこまで自由に行けるなら、そもそも彗星に乗る必要はないような気もしますが、著者はあまり気にせず旅の案内を続けます)。

まず訪れるのは海王星です。当時はここが太陽系の果てでした。
著者は、海王星の物理的性質を説明した後で、適当な大気と惑星自身の熱のおかげで、この酷寒の地でも海王星人は生きのびることができるし、彼らは暗闇の中でも活動できるよう、おそらく大きな瞳を持ち、網膜も鋭敏なのだろうと推測します。


彗星号は、次いで天王星、土星、木星、小惑星帯へと順番に進みます。
天王星の衛星の話、大きな図体のくせにコルクのように軽い土星の話…旅の話題は尽きません。

小惑星が密集する危険なエリアを抜け、太陽が近づくにつれ、彗星はジェットの尾を伸ばし、その壮麗な姿を天空に現します。

「我々の乗り物は、今や非常に速力を増し、停車駅の間隔もごく狭いので、各惑星にほんの一瞥を投げかけただけで次に向わねばならない。」

火星や地球の脇を過ぎ、さらに我々は金星、水星、そしてバルカンへと、次から次へと通過していく。ただしバルカンは、水星と太陽の間の小惑星帯を構成する、無数の小惑星の1つに過ぎないことが分かるだろう。」

バルカンの名が、郷愁を誘います。
バルカンは、海王星の軌道予測者、ユルバン・ルヴェリエ(1811‐1877)が1859年に提案した幻の惑星。1881年には、すでに存在が疑問視されていましたが、この記述こそ、まぎれもない時代の刻印でしょう。

そして彗星号は最終目的地の太陽に到達します。
視界いっぱいに広がる光。ダイヤモンドでさえも一瞬で燃え、どんなに硬い金属でもとろけてしまう熱。目の前に、あまたの観測者を悩ませた、あのバラ色のプロミネンスが燃えています…。

   ★

こんな風に書いていると、話が終りそうにないので、あとは挿絵を適当に貼って、本の紹介に代えることにします。(版画ばかりで写真がないのは、さすがに19世紀。)

              立派な館の庭から眺める真夜中の空。

                            海上に浮かぶ蜃気楼

 むつまじく虹を眺める親子

              「霜と雪」の章題ページ

  雪の結晶と美しい雪化粧

   ★

今日も全国で猛暑日。一体いつになったら、現実世界に涼が訪れるのでしょうか。
いささかバテてきました。。。