「スカイ・アンド・テレスコープ」誌のこと2007年11月15日 22時00分14秒


昨日の写真でも登場した、アメリカのSky & Telescope 誌。
1941年10月に創刊された、アメリカでいちばんポピュラーかつ伝統のあるアマチュア天文誌です。日本でいえばさしずめ「天文ガイド」誌のような存在。

残念ながら創刊号は持ってませんが、上の写真は、手持ちの中では一番古い1942年7月号。太平洋戦争の初期に出た号です。

目次を見ると「ニューへヴンで天文家の集い」「太陽に関する事実」「カシオペヤ座ガンマ星の話」「7月の星空」といった記事が並んでいて、コンテンツ自体に戦時色は皆無です。下のリンク記事によると、当時の編集後記の中で、当誌はプロパガンダ雑誌にあらず、天文学に国境なし、と高らかに謳っていたそうですから、なかなか天晴れです。

Sky & Telescope 誌の歴史は以下のページに詳しく紹介されています。
http://www.theendoftheworld.org/astro/skytelhtml/

これによると、同誌はThe Sky (1935年創刊)とThe Telescope (1931年創刊)の2誌が合併して生まれたそうで(分かりやすいネーミングですね)、さらにさかのぼると、The Sky も別の2誌が合同して生まれた雑誌だとのことで、当時のアマチュア天文誌は、さかんに合従連衡を繰り返していたことが分かります。

同誌の誕生以降は、そうした動きも影をひそめ、すでに66年が経過したわけですが、これは戦後生じた空前の宇宙ブームという時の利もあり、またそれを存分に生かした編集者・経営者の腕も非常に良かったのでしょう。

★付記

それにしても、昨日の写真は、みな表情が暗く、こわばっていますね。これこそが恐るべき戦争の影なのでしょう。太平洋戦争末期、アメリカの民衆も疲弊の色が濃かった時期の一枚。