戦前の東京天文台の全景2007年11月23日 18時26分29秒


1930年(昭和5年)建設のアインシュタイン塔が写っているので、前に載せた絵葉書よりも少し後の、昭和初年に売り出されたものだと思います。(発行元は同じく日本天文学会ですが、アドレス面のデザインが他のものとは違っています。)

80年前の絵葉書に写った景色は、何かだだっ広い「野ッぱら」という感じですが、上の写真を見ると、周辺も一面がらーんとしていて、天文台の敷地だけ造成されて裸地になったわけではなさそうです。

考えてみると、東京郊外の原風景というのは、本来非常に明るくて、あまり鬱蒼たる樹林とは縁がないのかもしれません。それは、たぶん薄の原を煌々と月が照らした古代の武蔵野の頃からそうなのでしょう。

それと、これは関東限定ではありませんが、全国の「いなか」の風景というのも、近世から近代、そして現代という短いスパンで、かなり急速な変化を遂げていることも再認識する必要がありそうです。木々の乱伐が行われて各地の山林が荒廃した明治中期。そこら中がアッという間に杉・檜だらけになった戦後。

天文台の構内の木立は、明るいコナラの林から、今、原始の暗い照葉樹の森に戻ろうとしているように見えました。

■付記

読み返して、我ながら不得要領な文章です。昔はどこも緑が濃く生い茂り、それが時間の経過と共に、直線的に減少してきた…というほど単純なものではないぞと、自分で自分に突っ込みを入れてみたのですが、天文台とは全然関係のない、唐突な話題でした。