天の星、地の星2016年01月06日 06時58分36秒

自然との再会…と言ったそばから何ですが、人間臭いものに引き寄せられる性情は容易に改まらないもので、天上で光を放つ星と同時に、こんな↓星を見れば、やっぱり興味をそそられますし、しばし見入ってしまいます。


1910年頃のフランスの絵葉書。
最初見たときは、何だかさっぱり分かりませんでしたが、絵葉書の左肩には、
 
 CARNAVAL D’AIX (エクスの謝肉祭)
 L'astronomie sur l'étoile filante (流れ星の天文学)

という文字が見えます。

「エクスの謝肉祭」とは、南仏プロヴァンスの町、エクサンプロヴァンス(Aix-en-Provence)で春先に行われるお祭りで、今も賑やかに山車や人形が練り歩くのだそうです。この奇抜な山車も、ほぼ百年前、その出し物の1つとして作られたのでしょう。


めかしこんだ馬が引っぱる星のハリボテをよく見ると、真ん中には流星の女神様がいて、それをトンガリ帽子の天文家たちが、四方から望遠鏡で眺めている…という場面構成。山車の裾を覆う幕も、飛行機に三日月と、空と縁のある柄になっているのが微笑ましいです。

   ★

なんぼ私でも、このハリボテと、遥けき天体が等価だというつもりはないんですが、面白さという点では、なかなか劣らぬものがあります。(ここでさらに、「1枚の絵葉書にも、大空の如き興趣あり」…とか言い出すと、話がちっとも前に進みませんが、まあそれはそれ、これはこれでしょう。)

コメント

_ S.U ― 2016年01月06日 20時08分13秒

>流星の女神様
 はぁー、結局、これは何なのでしょうか。この地方にかつて隕石でも落ちたことがあるのかと思いましたがそういうわけでもないんですよね。それとも、界隈で飛行機熱が高まっていたとか。でも、それは落ちると困るし、何なんでしょう。

_ 玉青 ― 2016年01月07日 06時44分31秒

いやあ何なんでしょうねえ。単なる思い付き?
…と改めて考えたら、1910年のハレー彗星回帰に絡めた出し物である可能性に思いが至りました。正確な年は分かりませんが、様式から見てこの絵葉書が発行されたのも、ちょうどその前後のはずです。

_ S.U ― 2016年01月07日 18時12分14秒

>1910年のハレー彗星
あっ、例の彗星と流星の混同ですね。
 それから、地球が尾の中にはいってシアンガスにやられるという怪説も潜在意識下にあって宇宙との交感がなされているのかもしれませんね・・・ ホントにフランスでもそうだったのでしょうか。

_ 玉青 ― 2016年01月08日 07時20分47秒

>彗星と流星の混同

もし、これが本当にハレー彗星に絡むものだったら、その面白い実例になりますね。
この山車(というか屋台?)は、見るからに1年こっきりの「使い捨て」っぽく見えるので、時事ネタを採り入れた可能性は高いと睨んでいます。

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