ケプラーの入れ子(前編)2016年12月15日 10時50分31秒

お釈迦様がいみじくも説かれたように、人の生の本質は「苦」であり、この世はあらゆる業苦に満ちています。今の世界を見渡せば、その言葉の正しさをあえて否定できなかろうと思います。そして、人間の心のうちには、それとは反対のものを求める心がありますから、優しい光を投げかける満月を見上げれば、ふと欣求浄土の念がきざしたりします。昨夜は家路をたどりながら、そんな思いで月を眺めていました。

   ★

さて、ケプラーが「多面体の入れ子」として太陽系をイメージしたことは、これまで折に触れて記事のネタにしてきました。その中でわりとまとまっているのが以下の記事。

■ケプラーの多面体宇宙モデル
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2011/07/08/

(画像再掲)

ケプラーの説をいちいち言葉にすれば、こういうことです。

まず太陽の周囲を回る水星軌道を大円とする球を描いてごらん。

次にこの「水星球」に外接する正八面体と、それに外接する球を描いてごらん。
そこに金星軌道が浮かび上がるだろう。

今度は「金星球」に外接する正二十面体と、それに外接する球を描いてごらん。
そこに地球軌道が浮かび上がるだろう。

続けて「地球球」に外接する正十二面体と、それに外接する球を描いてごらん。
そこに火星軌道が浮かび上がるだろう。

さらに「火星球」に外接する正四面体と、それに外接する球を描いてごらん。
そこに木星軌道が浮かび上がるだろう。

最後に「木星球」に外接する正六面体と、それに外接する球を描いてごらん。
そこに土星軌道が浮かび上がるだろう。

…そして「土星球」の外側に、もはや惑星は存在しない。
なぜなら、正多面体はこの5種類でおしまいだからだ。これが宇宙の摂理なのだ。

   ★

もちろん土星外の惑星が発見された今、これは単なる奇説に過ぎません(もし発見されてなくたって、十分奇説でしょう)。
でも奇説にしても、ちょっと美しい奇説です。

この奇説を手に取って眺めたいと思い立ち、いろいろ探しました。
それが黒い箱に入って届いたので、ここで眺めておきます。


(後編につづく)

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