おさる計算機(下)2018年06月08日 07時14分22秒

さて、教養ある猿のからくりを見てみましょう。
「おさる計算機」の裏側がどうなっているかというと…


何もありません。見事に何もありません。
あるのは、計算機を立てるスタンドだけです。

すなわち、メカニズムはすべて昨日見た表側にあったのです。
最初それに気づかず、「?」と思い、次に「!」と思いました。
この猿も賢いですが、これを作った人間もやっぱり賢いです。

ここには歯車やギアすらありません。このメカニズムを構成するのは、リベット留めした猿の関節に仕組まれたピボット機構のみです。
それによって、左右の足を閉じていけば…



スーッとポインターが下りていき…



ある特定の位置で止まります。

そして、この上下動に左右のスライド機構を組み合わせれば、



両足の位置を定めると、ポインターの位置は一義的に決まります。
あとは、そのポインターの位置に合わせて、答(2数の積)をあらかじめ印刷しておけば、みごとな計算機の出来上がりです。

知ってみれば「なーんだ」ですが、こういうのを「コロンブスの卵」と言うのでしょう。

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このブリキの玩具は、元々1916年にアメリカで作られたもので(William Robertsonという人が特許を取りました)、手元にあるのは、それをドイツの玩具メーカーが復刻したものです。