いずこも同じ秋の夕暮れ、とは言え2019年05月03日 10時53分43秒

何となく他人のふんどし的話題が続いていますが、今日もふんどしの続きです(幼い日に聞いた“長い長いふんどしの話”って覚えてますか?)

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話題の主はふんどしじゃありません。もっと美しいものです。
さっきまで1枚の写真を前に、しばし物思いにふけっていました。

(Wikipedia「Lund Observatory」の項より)

スカンジナビア半島の先端、エーレ海峡を越えればすぐコペンハーゲンの町というロケーションに、スウェーデンのルンド天文台はあります。上の写真は美しくも愛らしい、その外観(1867年完成)。したたる緑に囲まれて、まるでお伽の国の天文台です。

今このタイミングで、この写真を見に行ったのは、今朝がたいつもの天文学史のメーリングリストで、何とも言い難い投稿を読んだからです。
すなわち、同地のGöran Johansson氏はこう述べています(適当訳)。

 「皆さん、こんにちは。

 スウェーデンのルンド大学の天文学部門は、2001年に新住所に移転しました。市民公園の隅にあった少しばかりの小さな建物から引っ越したのです。

 元の建物の一つは、1860年代に溯るものですが、そこは今も空き家のままです。金を払ってそこを借りようとする者が誰もいないからです。建物は今や徐々に朽ち果てつつあります。地元の政治家たちは、ここをレストランか、科学普及のための施設にしたいと考えていますが、その資金がないので何もできません。
 一体どうしたらいいのか、2018年に彼らが意見を求めたところ、2、30個の提案がありました。さて、それを受けて政治家たちはどうしたか?以前と状況は何も変わりません。誰も金を持ってないので、どうしようもないのです。

 こうした事態が馬鹿げているのはもちろんです。いったいどうしたらいのか、何か妙案はないでしょうか?おそらく、同じようなことは他の土地でもあったことでしょう。だから、こうした場合にどんな手が打たれたのか、知りたいと思います。」

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スウェーデンといえばノーベル賞の国だよ、高負担高福祉の国だよ、日本とは文化にかけるお金が違うんだよ…という、漠然としたイメージがありましたが、それでもやっぱりこういうことは起こり得るのですね。

「いずこも同じ…」の感が深いです。しかし、この愛すべき建物が腐朽に任せるのは、まことに忍びないです。と言って、やっぱり金のない極東の住民は、こうやって心の中で応援するぐらいしかできません。その思いが建物に伝わって、「よし、俺ももうちょっと頑張ってみるか」と思ってくれると良いのですが。