銀の熊に誘われて星空散歩2021年01月17日 16時56分07秒

世の中が暗くくすんでいます。
であればこそ、美しいものや、心の滋養を求める人も少なくないはずです。
世の中がくすんでいるからといって、何もこちらまでくすむ必要はありません。

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最近、1冊の美しい本を手にしました。
一般向けの天文古書は、これまでずいぶん目にしましたが、まだまだ未知の美しい本は少なくないようで、これは嬉しい驚きでした。


■A. Emmerig(著)
 『Unser nächtlicher Sternenhimmel. Ein Taschenbuch für die
 studierende Jugend sowie für nächtliche Wanderer.』
 (我らが星空―若き生徒と夜の散歩者のための本)
 Verlag der Buchner'schen Buchhandlung (Bamberg), 1888(改訂第2版).


空圧しで凹凸を付けた凝った表紙。深い青に黒の筆記体、そして銀の星々。
八折り版74ページという、ごく小ぶりの本ですが、この美しい表紙だけでも手元に置く価値は十分にあります。


しかも内容がまた良くて、これは星座探しの本なのですが、ガイド星図がすべて青インクで刷られており、実に爽やかな印象を与えます。


こうして「おおぐま座」から出発して、それを手がかりに近くの星座へ、さらに遠くの星座へと順々に道をたどりながら、我々の夜の散歩は続きます。


趣向としては昔紹介した(LINK)、エリオット・クラークの『Astronomy from a Dipper』と同工で、そこに漂う素敵なムードもよく似ていますが、出版年でいうと今日のエメリッヒの方が先行しており、先輩格になります。

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こうした本を手にすれば、人間の精神に絶望ではなく、希望を抱くことができます。
そして、これはコロナも決して踏み込めない領域なのです。