火星探検双六(5)2021年02月25日 08時50分04秒

(昨日のつづき)

「10 見張」

「11 火星軍総動員」「12 物すごい海中城」

火星の恐るべき科学力は、ロボット兵士を作り出すに至っています。そのロボット部隊に動員が下り、海中にそびえる軍事要塞から次々に飛来。


「13 海蛇艇の包囲」
さらに人型ロボットは、巨大な龍型ロボットを操作して、鼻息荒く主人公に襲い掛かってきます。メガホンで投降を呼びかける人型ロボットに対し、ハッチから日の丸を振って、攻撃の意思がないことを示す少年たち。

「14 なかなほり」「15 火星国の大歓迎」
至誠天に通ず。少年たちの純な心が相手を動かし、一転して和解です。
あとはひたすら歓迎の嵐。

「16 王様に謁見」

これが以前言及した場面です。ふたりは豪華な馬車で王宮に向かい、王様に拝謁し、うやうやしく黄金造りの太刀を献上します。(火星人はタコ型ではなく、完全に人の姿です。)

「17 火星の市街」

空中回廊で結ばれた超高層ビル群。この辺は地球の未来都市のイメージと同じです。

「18 魚のお舟」

「19 人造音楽師」

「20 お別れの大宴会」

火星の娯楽、珍味佳肴を堪能して、二人はいよいよ地球に帰還します。

「21 上り 日本へ!日本へ!」

嗚呼、威風堂々たる我らが日本男児。
何となく鬼が島から意気揚々と引き上げる桃太郎的なものを感じます。

それにしてもこの麒麟型の乗り物は何なんですかね?日少号は?
日少号は置き土産として、代わりに火星人に麒麟号をもらったということでしょうか。

   ★

今からちょうど90年前に出た1枚の双六。
ここでパーサビアランスのことを考えると、90年という時の重みに、頭が一瞬くらっとします。1世紀も経たないうちに、世の中はこうも変わるのですね。

しかも、一層驚くべきことは、この双六が出た30年後には、アメリカがアポロ計画をスタートさせ、それから10年もしないうちに、人間が月まで行ってしまったことです。

アポロの頃、この双六で遊んだ子供たちは、まだ40代、50代で社会の現役でした。当時のお父さんたちは、いったいどんな思いでアポロを見上げ、また自分の子供時代を振り返ったのでしょう?…まあ、実際は双六どころの話ではなく、その後の硝煙と機械油と空腹の記憶で、子供時代の思い出などかき消されてしまったかもですが、戦後の宇宙開発ブームを、当時の大人たちもこぞって歓呼したのは、おそらくこういう双六(に象徴される経験)の下地があったからでしょう。

(この項おわり)

コメント

_ S.U ― 2021年02月25日 16時50分48秒

私は、リアルタイムでの記憶はないのですが、火星の高等生命の可能性に最初で最後の打撃を与えたのは、マリナー4号によって撮られた火星のクレーターだらけの世界の写真の公開ではないかと思います。というのは、それ以前に出ていた天文の本には、タコの火星人はさておき、何らかの動植物がいる可能性の言及がありました。また、当時、クレーターだらけの世界は月の専売特許でした。

 当時の新聞記事などで、識者や素人の感想とかどうだったか、ぜひ見てみたいのですが、すぐには見つかりません。これはまたの日を期すことにして、これらの画像データが受信されたのは、1965年7~8月のことということです。

_ 玉青 ― 2021年02月26日 06時49分02秒

>マリナー4号

おお、最後の刺客。
パッと脳裏に浮かびませんでしたが、火星の話題からいけば、当然こちらが本筋ですね。
これは日付もはっきりしていますから、私も今度図書館に行ったら、縮刷版を見てみようと思います。それと当時の「天文と気象」誌や「天文ガイド」(ずばり1965年7月創刊!)を見ると、同時代の識者・マニア・一般ファンの声が凝縮されていそうですね。新たな成果への興奮と、ガッカリとの入り混じり具合がどうであったか、はなはだ興味深いです。

_ S.U ― 2021年02月27日 08時16分36秒

マリナー4号の影響のお調べは、またよろしくお願いします。

 私のはマリナー6,7号の時の記憶なのですが、・・・、地球は生の世界、月は死の世界、ということがまずわかっていて、クレーターだらけの世界が月の死の世界の象徴でした。 (アポロ以前は、「クレーター」という言葉は普及しておらず、我々のところでは「あばた」とよばれていた。)
 
 で、火星は生の世界で地球側グループだとなんとなく信じていたところに、月と見まがうクレーターの写真で、「火星よ、おまえもか」と、一瞬にして裏切られた衝撃を受けたことを覚えています。本能寺の「是非に及ばず」というのではなかったです。

_ 玉青 ― 2021年02月27日 18時02分51秒

あはは。まあ、月面でむきになって生命の痕跡を探す人はいませんけれど、火星ではいまだその可能性に賭けて、延々と計画が続いていますね。あそこには真っ当な科学的探究心の向こうに、かすかな「未練」が透けて見えるような気がします。あるいは「生命の痕跡を探す」と言えば予算取りがしやすい…ということならば、全人類的未練が今も火星探査計画に影響を及ぼしているのかもしれません。まだまだ双六的心性は健在というべきでしょうか。

_ S.U ― 2021年02月28日 09時32分46秒

では、今回の探査機の名前も「パーシビアランス=忍耐」よりも、「アタッチメント=執着、未練」とかのほうが適当だったかもですね。

でも、忍耐とか未練とか、火星の世界というより、なんか日本の演歌の世界みたいです(笑)。

_ 玉青 ― 2021年02月28日 15時03分39秒

あとは酒と泪でしょうが、泪はともかく酒はどうですかね。火星でエタノールが発見されたという話は聞かないんですが、先年のラヴジョイ彗星はエタノールを振りまきながら飛んでいたといいますし、彗星の振る舞い酒ぐらいは期待できますかね。

ちなみに以前紹介した珍書『ZODIAC COCKTAILS』(http://mononoke.asablo.jp/blog/2019/04/14/9059557)に載っていた“マーズ・カクテル”(ふたご座の方にお勧め)のレシピは、

・オレンジ・ビター4振り
・ドライ・ベルモット4振り
・シェリー酒グラス1杯
以上をよくかき混ぜて、ストレーナーで濾してカクテルグラスに注げば出来上がり。

…だそうです。

_ S.U ― 2021年03月01日 14時14分52秒

酔狂な天文ファンのサポートによって、惑星の皆様もそうとうサバけてみたいですね。喜ばしいことと存じます。

_ 玉青 ― 2021年03月02日 18時46分39秒

ときに、常連コメンテーターのS.Uさんにひっそりと告知ですが、コメントを投稿する前にクイズに答える…という余分な手順を削除しました。いまどき個人ブログにSPAMを送るような暇な人もいないと思いますので…。これでしばらく様子を見てみます。

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