缶の中に眠る宝石2021年03月20日 07時37分37秒



昨日の標本セットには相棒がいます。


同じイギリスの業者が扱っていたものですが、こちらは「Rough Precious Stones」とラベルにあるように、貴石・半貴石のラフストーンを20種集めたもの。昨日の鉱物コレクションのラベルとは、筆跡が違って見えますが、筆記体とブロック体の違いもあるので、別筆と断ずることもできません。少なくとも木箱と中身のティン缶は全く同じで、以前の所有者も同じ(はず)です。


宝石というのはきらきらしてナンボでしょうが、ここに見られるのは、それとはずいぶん違った表情です。ここでは石そのものを愛でるというよりも、古びた金属缶、曇った板硝子、その奥に見えるザラザラした石の肌、そこに浮かぶ鮮やかな色彩…それらが一体となって醸し出す風情を愛でたい気がします。


元の所有者も、きっとこの「きっちり感」をいとおしく感じたのでしょうね。

鉱物趣味の大きな要素に「結晶の美」というのがあります。
明快で幾何学的な形象の面白さ。原子と分子のロジックが生み出す構造美。
箱の中にきっちり収まった円環の行列が放つ魅力は、ちょっとそれに似ている気がします。